2021 Fiscal Year Research-status Report
島の効果に対するラベリング分析の可能性についての研究
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20K13018
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
黒木 隆善 九州共立大学, 経済学部, 准教授 (10751654)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 島の効果 / ラベリング分析 / wh移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、島の効果について、島の内部から移動が許される場合、許されない場合の特徴を、ラベリング分析で説明することを目的としている。2021年度は、2020年度に引き続き分裂文の焦点要素の移動について分析を行いつつ、主語の島効果に関する文献調査研究を行なった。 2020年度に分析を行った分裂文の研究に関しては、分析の問題点であった、焦点位置のラベル付けについて細かく修正を行い、2021年度に大学の紀要において、査読付き論文として掲載された。また、この論文では更に、分裂文と寄生空所構文が構造的に類似していることを主張し、その共通する特徴として、(i)分裂文では述部名詞句(Predicate Nominal)を焦点とすることができないこと、(ii)寄生空所構文では述部名詞句のwh句が寄生空所を認可できないこと、を取り上げた。 主語の島効果については、現状として文献調査の研究のみに終わっているが、近年主語の島効果について、ラベル付けの枠組みを用いて分析を行っている論文が出されているので、それらの文献を島の効果の事実と比較しつつ、新たな論文の構想を練っている段階である。特に、近年の枠組みを用いて、黒木 (2016)で提案したアイデアを発展させることができればと考えている。また、今年度論文を作成した、分裂文の焦点位置の移動に関する分析では、焦点位置の要素全体がwh移動できるという文法現象を取り扱ったが、焦点位置の一部の要素をwh移動させることも可能であることが、先行研究等で報告されている。そのため、Criterial Freezingをラベル付けアルゴリズムの観点から捉え直したRizzi (2015)の分析を援用することで主語の島効果を説明できないかどうかについても同時に検討を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度より、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続き、現在においてもなお、その影響が続いている。特に、国際交流の部署を担当しており、コロナ禍で影響を受けいる留学生の入国や遠隔対応などの方針を全て策定し、着実に実施していかなければならない役職を担っている関係上、その業務を最優先として大きな時間を割く必要があり、その結果として、(主語の)島の効果の分析に関しては、文献などの収集・調査に留まってしまい、実質的な分析まで着手ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、(主語の)島の効果に関して、近年ラベリング分析を用いた論文が出ているため、ラベリング分析を取り入れている論文及び研究を引き続き収集し、整理を行う。その上で、特に黒木 (2016)で提案した分析と近年のラベリング分析とを比較しつつ、「島の内部からwh移動が許される・許されない」場合を説明できるラベリング分析を提案し、論文の形で公表する。
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Causes of Carryover |
2021年度も、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、学会出張等が全てオンラインとなったため、旅費等を支出することがなく、物品費・書籍購入費用のみの使用となってしまった。2022年度については、引き続き島の効果関連・英語学関連の書籍を追加購入、論文執筆のための印刷費を中心として支出する計画である。また、学会開催の状況によるが、対面での学会が開催されれば、旅費としての支出も計画している。
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