2022 Fiscal Year Research-status Report
島の効果に対するラベリング分析の可能性についての研究
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20K13018
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
黒木 隆善 九州共立大学, 経済学部, 准教授 (10751654)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 島の効果 / ラベリング分析 / wh移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、島の効果について、島の内部から移動が許される場合、許されない場合の特徴を、ラベリング分析で説明することを目的としている。2022年度は、2021年度で研究を行った、分裂文の分析を援用し、更に黒木 (2016) で文献収集した主語の島効果のデータを合わせて、主語の島効果を捉え直すことができないか検討した。 具体的には、ラベリング分析を用いたCriterial Freezingの捉え直しから、ラベルが決まっていない限りにおいては、移動が可能である、ということを導き出し、主語の島効果の緩和 (TP指定部に主語が移動しない場合には、主語内からの抜き取りが可能になることがある、という一般的特徴) にも援用可能であるかどうかを検討している。ラベル付算法 (Labeling Algorithm) はフェイズ単位でTransfer操作時に適用される、という考えを踏襲するのであれば、v*Pフェイズの指定部にある要素のラベルが決定しなかった場合、CPフェイズの段階で、v*Pフェイズの指定部内の要素にアクセス可能であると考えられる。しかしながら、大きな課題として、主語がv*Pフェイズに留まった場合、ラベルが決定されないままとなってしまう。今年度はこの課題をどのように解決するか、文献調査を含めて検討したい。 また、西ウェルケス語の、所有を表す要素が、特定の状況下において島の効果を示すことを論じたErshova (2022) の分析も興味深いため、現在検討中の分析で説明ができないかどうか検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、引き続き国際交流の部署を担当していたため、新型コロナウイルス感染症への対応、それに伴う留学生の受け入れ体制や遠隔対応などの方針を引き続き策定し、着実に実施しなければならない業務を担当していた。また、他にも、戦争の影響によってウクライナから避難を希望する学生への質問対応や受け入れ方針の具体的な策定などの業務を最優先事項として取り組む必要があった。それらの準備や対応に大きな時間を割く必要があり、その結果、具体的な研究の成果として、論文や学会発表などに結びつけることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度までに検討した研究の成果を、論文の形で公表する。特に、主語の島効果が緩和される現象について、ラベリング分析を用いた分析を試みる。また、可能であれば、Ershova (2022) で提示された、西チェルケス語の所有を表す要素の抜き取り可否についても、ラベリング分析で説明が可能かどうか検討する。
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Causes of Carryover |
2022年度も、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた学会出張が全てオンラインとなったため、旅費等を支出することがなかった。また、留学生関係の業務が多忙であったため、物品費・書籍購入費の使用にも至っていない。2023年度については、引き続き島の効果関連・英語学関連の研究書籍、論文執筆のための物品等の購入を行う予定である。また、2023年度から、所属学会の対面開催も予定されているため、旅費としての支出も計画している。
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