2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13020
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
今村 怜 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 講師 (70829671)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 語順 / かき混ぜ文 / 話題化文 / 後置文 / 分裂文 / 受身文 / コーパス解析 / 文産出実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ危機の発生により研究環境が大幅に変化し、当初予定していた実験の実施が難しくなってしまった。それゆえ、実験協力者を含む研究体制全体の立て直しに注力し、実験の文産出の実験を来年度に延期することにした。そのため、実験に使用するはずであった研究費が余っており、その分は来年度に繰り越す予定である。また、本年度はコーパス解析を通じて語順の機能の研究を推し進めた。本研究の目的は、コーパス解析と文産出実験を組み合わせることによって多角的かつ総合的に語順の選択基準を解明することである。したがって、コーパス解析の成果は、来年度の実験の下地づくりとなるものである。具体的な研究成果としては、後置文と分裂文の機能を情報構造の観点から明らかにし、研究成果を全国学会で発表した。 本研究の意義としては、複数の手法を通じて日本語の構文の機能の体系化を目指していることが挙げられる。先行研究の多くは、コーパス解析、内省、文解析実験といった単一の手法に基づいている。それゆえ、採用した手法に基づくバイアスを排除することができず、誤った結論を導き出してしまうことも少なくない。本研究では機能主義言語学的手法と心理言語学的手法を組み合わせることにより、可能な限り客観性を高めるものとする。同時に、統計学を背景とした量的なアプローチを取ることにより、各要因の強さを客観的に計測することが可能となる。文産出実験とコーパス解析の結果を比較検討することにより各構文の選択基準の一般化を行うものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では文産出実験に着手する予定であったが、コロナ下で被験者を集めることには道義的な問題もあり、対面式の実験を行うことができなかった。そのため、本年度はコーパス解析に専念し、状況の変化を見守ることにした。コーパス解析は予定通りに進めることができたが、文産出の実験は全く進んでいない。それゆえ、「やや遅れている」という評価を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はオンラインでの実験を通じてデータの収集を行うものとする。ワクチンの普及速度を勘案すると対面式での実験は現実的ではないとの判断である。 最終年度は、収集したデータに基づき、研究成果の発表を集中的に行う予定である。査読の期間を勘案すると、可能な限り迅速に初稿の投稿を済ませることが望ましい。したがって、文産出実験が終わり次第、前倒しで投稿を開始することも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
コロナ危機の発生によって実験を延期することになり、出張も差し控えざるを得なかった。これによって生じた余剰資金は、すべて実験および研究成果の発表へ使用する予定である。
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Research Products
(2 results)