2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13020
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
今村 怜 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 准教授 (70829671)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 語順 / コーパス解析 / 文産出実験 / 受動態 / 分裂文 / かき混ぜ文 / 後置文 / 文法関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、機能的主義的な観点から日本語の語順の選択基準を明らかにすることである。その目的を達成するために、コーパス解析と文産出実験を行った。まず、コーパス解析の成果として、焦点化および文法関係は、話題持続に影響を与えるという結果が示された。それに対し、かき混ぜ操作は、指示距離とは相関するが、話題持続とは相関しないという結果が観察された。また、分裂文と後置文には構文特有の談話機能が存在し、それらは独立した要因として指示距離と話題持続に影響を与えるという結果が観察された。同様に、「二/ニヨッテ」受動文も構文特有の談話機能を有し、文法関係から独立した要因として指示距離および話題持続と相関するという結果が観察された。具体的には、「二/ニヨッテ受動文」の主語はいずれも指示距離が小さく話題持続性の高い要素として働くという共通点が観察されたが、それは文法関係の機能であり、構文特有の機能としては、二受動文の主語が広い範囲のトピックとして働くのに対し、ニヨッテ受動文の主語は狭い範囲のトピックとして働くという傾向が観察された。このように、語順や文法関係は個別構文と相互作用を示すという結果が観察された。ところが、これらの結果はコーパス解析に基づくものであり、単独の手法から結論を導き出すのは危険である。そこで、コーパス解析に基づいて提案した仮説を文産出実験によって再検証した。その結果として、Imamura & Seraku (2022) は、文法関係と話題持続の間に疑似相関が存在している可能性を指摘した。具体的には、文法関係と有生性の間には相関関係が存在し、有生性と話題持続の間にも相関関係が存在する。それゆえ、文法関係と話題持続の間に疑似相関関係が生じているという可能性を示唆する実験結果を観察した。以上のように、複合的な観点から仮説検証を行うことで、より客観的な仮説へと到達することができる。
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Research Products
(1 results)