2020 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害児の音声言語発達に関する研究:韻律情報を用いた検討
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20K13028
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
喜屋武 睦 福岡教育大学, 教育学部, 助教 (80827014)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 聴覚障害児 / 音声言語発達 / 韻律情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、聴覚障害児の韻律情報の活用について音情報処理に関する諸能力との関係、そして言語力との関係性を明らかにすることを目的とするものである。そのために、1)非言語的韻律情報(楽音のリズムやメロディー)の活用能力と言語的韻律情報(アクセントやイントネーション)の活用能力には関係があるか、2)韻律情報に関するメタ言語的知識は韻律情報の活用にどのように反映されるのか、3)言語を理解する力と,その表出としての韻律情報の発話面での活用能力には関係があるのか、について検討を行う。 2020年度は上記の検討項目のうち「1)非言語的韻律情報(楽音のリズムやメロディー)の活用能力と言語的韻律情報(アクセントやイントネーション)の活用能力との関係」について実施した。具体的には、ピアノ音(C3~F4,基本周波数で131Hz~349Hz)を用いたピッチ聴取弁別課題(非言語的韻律情報)と、文末情報(ex 水を飲む/水を飲む?)を用いた韻律聴取弁別課題(言語的韻律情報)を聴覚障害児20名(3年生~6年生)に実施した。現在、実験により得られたデータの分析を進めている。また、対象児には補聴デバイスとして補聴器・人工内耳のいずれか(または両方)を装用している児童が含まれている。両補聴デバイスは音情報の処理過程が異なるため、上記の課題成績については補聴デバイスの別についても分析を行う。 本データの分析を進め、聴覚障害児における言語的韻律情報と非言語的韻律情報処理の関係性について明らかにすることは、聴覚障害児の音情報支援や言語発達支援につながるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は年度当初から、新型コロナウイルス感染症の影響により研究開始までの予定に遅れが生じた。本研究では対象を小学校段階の児童としていたためデータの収集自体が懸念されたが、学校及び対象児童の協力により実験を遂行することができた。現在、データの分析及び研究論文の作成中であり、当初の予定通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、昨年度に収集したデータを詳細に分析、統計学的検討を行い、関連する学会での発表及び学術誌に論文を投稿する予定である。さらに、上記【研究実績の概要】で述べた検討項目「2)、3)」に向けた実験課題作成に取り組む。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの影響で予定されていた国内の学会がすべてオンライン開催となったため、当初予定していた旅費の使用がなかった。また、人件費に計上していた費用は、こちらも新型コロナウイルスの影響により、研究代表者の管理下(個人情報保護の観点から研究室内で長時間の作業を要する)でデータ分析を依頼することが難しく、執行することが困難であった。今年度は、現時点では夏以降は学会の現地開催も見込まれるため、当初の計画通り国内旅費に使用する予定である。
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