2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13031
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
木島 愛 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (40767563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凝結表現 / 日仏対照 / 知覚動詞 / 語彙文法理論 / 慣用表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
「凝結表現(慣用表現)」を対象とした研究は,言語学だけではなく,言語教育や情報工学などの分野で近年活発化しているが,本研究は特に言語教育分野への貢献を目指している.外国語学習者にとって「慣用表現」の適切な理解と使用は,一定水準以上の言語運用能力を習得する上で,欠かすことのできない要素だからである. 分析の理論的枠組みとして,Maurice Gross が提案し,Gaston Gross が発展させてきた「語彙文法理論」を軸としつつ,日本語とフランス語両方に適応可能な分類基準を再構築するために,2022年度は引き続き知覚を表す動詞 (見る,見える,など)の慣用表現の分析を行った.また,ChatGPTなどの人工知能の急激な発達により,言語データの収集や処理の方法の方向性をどのように実施していくか,パリ13大学LIPN研究所 (パリ北情報研究所) と検討を重ねている.人工知能をどのように利用していくかについては,さらに検討すべきであるが,新たな方向性として,まだ言語化されていない会話において使用される凝結表現に着目し,感情表現として使用される凝結表現のデータ収集と分析を開始した.新たに日本国内の研究者とも情報を共有し,データベース構築に向けてより多くのデータの収集と,分類方法の確認などを行なっている. 2022年度の具体的な成果物として,視覚動詞 voir が使用される慣用表現の中に,en voir de X という共通要素が観察されることから,その分析を「En voir de X の構文化を探る」というタイトルまとめ,日本ロマンス語学会が発行する『ロマンス語研究』に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度まで,社会情勢などにより,フランスのパリ13大学LIPN研究所 (パリ北情報研究所) を訪れたり,研究者を招聘し,具体的な作業を確認しながら進めることが難しかったため,データベースの構築という点で遅れている. 2022年度から,頻繁にオンラインミーティングを実施しており,インターネットによるデータの共有や意見交換ができる環境を整えたため,2023年度はよりスムーズに研究課題を進められる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
フランスのパリ13大学LIPN研究所 (パリ北情報研究所) から研究者を招聘し,日本国内の研究者を交えて研究会の実施を11月に予定している.これにより,データベース構築に向けて細部の検討ができ,学習者向け日仏慣用表現のデータベースのプロトタイプが作成を予定している. しかし,近年のChatGPTなどのAI技術の発展をどのように捉え,対応していくかという点で,データベースの作成にも関わってくるため,パリ13大学LIPN研究所と更なる検討を進める必要がある.
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Causes of Carryover |
社会情勢の影響により,海外での学会発表ができなかったこと,海外の研究者を招聘することができなかったことが挙げられる.2023年度は11月にフランスから研究者を招聘し,研究の打ち合わせや研究会などを行うことを予定している.
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