2022 Fiscal Year Research-status Report
A usage-based approach to the use and acquisition of lexicon and grammatical constructions
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20K13035
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 陽子 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (10735848)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 使用基盤モデル / 語彙習得 / 動詞 / 使用頻度 / 構文 / コーパス / 話しことば |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもと養育者の自然発話コーパスを用いて、子どもの語彙知識と構文知識の習得プロセスを理論的かつ実証的に探究することを目的としている。具体的には、以下の研究項目について英語と日本語の動詞を対象に分析する。(i)言語使用における非対称性、動詞と構文の習得過程の記述:養育者によって動詞がどのような構文で使用されているか、その使用にはどのような分布的特徴がみられるか。それに応じて子どもはどのような言語使用をしているか、その習得課程を記述する。(ii)誤用分析:言語使用、とりわけ語彙知識と構文知識について、どの部分に誤りがあり、どの部分が正確に理解されているのかを明らかにする。(iii)語彙と構文知識の習得がどのように関連し合っているのか、そのメカニズムを解明する。 2022年度は、語彙と構文知識の習得がどのように関連し合っているのかについて仮説を立て、分析を行った。大人と子どもの自然発話データベースCHILDESの日本語データと英語データを使用し、高頻度で使用している動詞を対象に、どのような構文が使用されているか、その構文がどんな発話機能を持っているかをコーディングし、動詞使用における特徴の違いを分析した。頻度の高い構文は子どもの動詞使用の初期に現れ、さらに、自他の誤りが多く生じる構文も高頻度の構文と一致することから、初期に現れる高頻度の構文が語彙と構文発達のプロセスを理解するうえで重要な働きをしていると考えられる。この成果を踏まえ、子どもの動詞および構文の発達過程をより立体的に理解するための考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、当初の予定通り語彙知識と構文知識の習得プロセスについて分析と考察を進めた。しかし、いくつかの特定の動詞の使用についてその特徴を分析したものの、考察がまだ不十分であるため、成果の発表には至っていない。分析対象とする動詞の数を増やし、引き続きデータのコーディングと分析、考察を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は、語彙知識の習得と構文知識の習得プロセスがどのように連携しながら発達していくか包括的な考察し、文法形成の具体的なプロセスをモデル化できるよう分析を進める。日本語話しことばの特徴についても考察を進める。得られた結果を踏まえ、国内外で開かれる学会やジャーナルにて研究成果の報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
この数年でオンラインでも参加可能な学会やシンポジウムの開催が増えたため、旅費が当初の予定ほどにはかからなかった。2023年度には、語彙知識と構文知識の習得プロセスについて分析や考察を進め、成果を論文としてまとめるにあたり必要となる書籍、資料のコピー、その他消耗品費等に研究費を使用する予定である。
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