2023 Fiscal Year Research-status Report
How Evidentiality is Expressed in Narrative: From the Perspective of Comparative Study of Japanese and English.
Project/Area Number |
20K13041
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
高島 彬 尾道市立大学, 芸術文化学部, 講師 (00843294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知言語学 / 日英対照 / 物語論 / 証拠性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「証拠性(Evidentiality)」を表す日本語と英語の表現の使用実態を調査し、それらの使用にはどのような動機づけがあるのかを認知言語学と物語論の理論的枠組みを援用して明らかにすることにある。 4年目にあたるR5年度は、日英対照研究のための対訳コーパスのデータ収集を行いつつ、物語論と認知言語学の理論的枠組みを踏まえて、語り方の詳述性が言語変化に影響を与えることについて検討した。具体的には、日本語の「-感」が複合語を構成する接尾辞相当から疑似的な発話を前部要素にとる疑似引用表現への変化には、認知言語学で論じられる仮想性(Fictivity)、特にFictive Interactionが反映されていることを示したが、その変化を動機づける要因として、物語論におけるミメーシス性の高まりが関与することを主張した。 また、本年度は、このような成果と並行して、対訳コーパス構築のためのデータ収集に関して、人手を集め、予定していたデータの大半を集めることができた。 次年度は、日本語と英語の小説の対訳における証拠性の有標化に関する比較対照分析を中心的なテーマとして、収集した対訳データにおける証拠性の表出の揺れについて認知言語学的観点から分析を行い、その成果を学会発表や論文として随時発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知言語学と物語論を援用した理論的枠組みの整理は大方整ってきている。また、コロナウイルスの終息とともに、対面での学会参加やデータ収集のために必要な人手を確保できるようになってきた。しかし、今年度以前のコロナウイルスの影響もあり、いまだ必要なデータ量を確保できていないのが現状であり、次年度以降も引き続きデータ収集と整理を続けながら、収集したデータの分析を行い、その結果を随時学会での発表や論文投稿という形で発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度はコロナウィルスの終息に伴い、対面での学会への参加や有識者との会合が可能となってきたため、旅費や人件費を徐々に使用できるようになり、対訳コーパス構築のためのデータ収集と整理を行うことができた。しかし、これまでのコロナウィルスの影響もあり、いまだ必要な量に達していないのが現状である。次年度はデータ収集・データ整理を急ピッチで行い、実証的な研究を試み、学会での発表や学術論文への投稿を通して、研究結果を随時発表していく。
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Causes of Carryover |
R2年度~4年度にかけてのコロナウイルスの影響により、対面での学会開催が減少し、オンラインでの開催であったため、交通費が使用できない状況にあった。また、同様の影響で、データ収集のために予定していた人員確保もできず、人件費が使用できていなかった。これらの未使用分が次年度の使用額として残っている。次年度使用額に関しては、学会参加への移動に関わる交通費やデータ確保のための人件費が主な使用用途となる。
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