2020 Fiscal Year Research-status Report
甑島里方言研究を通じたテキスト・辞書活用のモデル化
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20K13054
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
平塚 雄亮 中京大学, 文学部, 講師 (70757822)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 危機方言 / 辞書 / テキスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では甑島里方言の辞書・テキスト作成を拡充させ,さらにこれらをどのように活用させればよいか,そのニーズを掘り起こすことを目的としている。辞書・テキストの拡充には定期的な現地調査が欠かせないが,2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,現地調査が行えなかった。その代替措置として,2020年7月に調査協力者にレコーダを郵送,貸与し,3本の方言談話収録をお願いした。研究期間以前より里方言の談話収集は行っていたが,結果的にはこの談話収録を通じて,現地調査が行えない間にどのように研究を行えばよいかという事例の蓄積にもつながった。2020年度は,この3本の談話をテキスト化し,グロスを付与する作業を進めた(2021年度中に国立国語研究所「危機言語データベース」においてオンラインデータ公開予定)。 上記はテキスト作成に関する成果であるが,辞書作成については,2020年6月に,国立国語研究所「危機言語データベース」において約900語のオンラインデータ公開を行った。これには語形,意味(標準語訳)のみならず例文も用意し,さらに語形および例文に対して音声も付与した点が画期的であると言える。2020年度はこのデータにアクセント表記を付与する作業を進めた(2021年度中に国立国語研究所「危機言語データベース」においてオンラインデータ公開予定)。 このほか,甑島里方言の複数接尾辞も分析対象に含み,「複数接尾辞ドモの時空間変異研究」および「日本語諸方言コーパスを用いた複数接尾辞の対照方言研究」と題した口頭発表をオンラインで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,現地調査が1度も行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も(あるいはその先も)新型コロナウイルス感染症拡大の影響は続くと思われるため,今後はZoomを用いたオンライン調査を実施し,辞書作成を継続させていく必要がある。また,過去に収集した談話をテキスト化,グロス付けを行い,現地調査が行えないなかでも研究を後退させないようにデータの整備を行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,2回実施予定であった現地調査が行えなかったため。また,関連学会・研究会も中止またはオンライン開催となり,出張費が生じなかったため。 2021年度は,ワクチン接種が現時点よりも拡大すると思われる年度末に現地調査を長期間行うことで出張費として執行したい。
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