2021 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Syntactic Study of So Anaphora: A View from Extraction Possibilities
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20K13064
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
坂本 祐太 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任講師 (40802872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 照応現象 / 移動 / 生成文法 / 統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究実施計画の「【1】so照応が示す抜き出しの可能性のパターンに関する言語横断的記述」の推進が新型コロナウィルスの影響によって困難であったため、日本語および英語のso照応に関する経験的及び理論的研究を中心に行った。まず、英語に関しては以前研究を行った節を照応するsoと否定辞繰り上げの相互作用を再考察し、抜き出しに関する新たな経験的事実を提示した上で、国際誌Linguistic Inquiryへの論文投稿を行った。本論文は既に掲載許可をもらい、2022年度には出版される予定である。また、日本語に関しては、Kroll (2019)が英語で観察を行った極性反転省略が日本語の節を照応するsoにも関与している可能性を指摘し、共同研究としてJapanese/Korean Linguistics 29にてポスター発表を行い、Proceedingsへの論文投稿を行った。上記2本の論文は、研究対象とした言語及び研究対象とした現象は異なるが、先行研究において議論のあった否定辞繰り上げ現象の理論的分析に関して、意味論・語用論的分析の方が統語論的分析よりも妥当であるという結論を共通して導いている。研究実施計画の【2】「so照応が示す抜き出しの可能性を説明する理論構築」に関しては、【1】の推進が当初の予定よりも遅れているために、【2】に関しても昨年度から大きく発展することはできなかったが、今年度行ったso照応の研究を取り入れた上で、次年度以降発展を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、新型コロナウィルスの影響で研究実施計画【1】が当初の予定よりも進んでおらず、結果として研究実施計画【2】にも影響が出ている。しかしながら、前述したように国内で母語話者の文法性判断が得られやすい日本語や英語を中心にso照応の新たな経験的事実が明らかになったため、当該区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、まずは今年度あまり進展できなかった研究実施計画【1】の完成を目指すこととしたい。そして、そこから得られた経験的事実と照らし合わせながら研究実施計画【2】に取り組む。具体的には昨年度言及した推進方策を継承し、①「包括性条件の下でのPFにおけるso照応の音声的挿入」②「so照応の補部Ⅰ位置に完全な統語構造を想定した上での、当該補部の義務的な音声的削除」の2つのアプローチを比較検討し、両者からどのような経験的予測の違いが生まれ、どちらのアプローチが経験的及び理論的に支持されるのかについて考察を行うこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、海外におけるデータ収集・学会発表及び国内出張ができなくなったために次年度使用額が生じた。今年度は対面学会も少しずつ始まっており、少しずつ海外でのデータ収集及び学会発表の可能性も出てきたため、許される限り積極的に取り組んでいきたい。それでも尚消化できなそうな場合には、国際的な研究集会などを企画し、新たな知見を得るために残額を使用することを予定している。
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Research Products
(3 results)