2023 Fiscal Year Research-status Report
英語there構文の一致・定性効果・非対格性制約に関する統一的説明に向けた研究
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20K13068
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
本田 隆裕 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (20756457)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自他交替 / 結果目的語 / 被動目的語 / 道具格主語 / 項省略 / 接辞「-e-」 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で、特に重要と思われる動詞dieについての研究と、結果目的語・被動目的語に関するさらなる研究を進めることができた。 自動詞は一般的に、非能格動詞、能格動詞、非対格動詞のいずれかに分類できると考えられるが、動詞dieについてはこのいずれにも属さないという仮説を立て、なぜthere構文に出現不可能であるのか説明した。分離φ素性仮説を採用する本研究において、dieの項が動詞句内にとどまるとラベルの問題が生じるため、there構文に出現不可能であるという点についてはその概略のみ前年度までの研究で報告したが、今年度は、その仮説に基づき、さらに他の動詞についてどのような分析が可能となるのかを取り上げた。特に、結果目的語を項に取る料理動詞が自動詞用法で用いることができない点と、句動詞(speak to)などが擬似受動文に現れることはあっても、自動詞文に現れることができない理由を同じ仮説に基づき説明することができた。これらの研究成果について、日本英語学会第41回大会の口頭発表及びJELS 41の論文で発表している。 今年度は、さらに結果目的語と被動目的語との間に見られる統語的な違いを日英語の比較統語論の視点から議論することも行なった。影山 (1996)は、「ケーキが焼けた」や「セーターが編めた」のような結果目的語を伴う自動詞文が成立するが、英語では成立しないと主張している。この点について、「子どもたちでケーキが焼けた」のような例が可能である点を新たに指摘し、岸本 (2005)の道具格主語の分析に基づき、影山があげた結果目的語の例は実際には自動詞文ではなく他動詞文であるということを指摘した。これらの研究成果はTabard 第39号に掲載の共著論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究については、初年度にも報告したが、応募書類提出から課題採択の期間に採択が決定したEnglish Linguistics 37でほぼその目標については達成できており、その点では当初計画した内容については一定の成果をすでにあげていることになるが、研究を進めていく上で偶然新たな問題を発見することもあった。there構文に出現可能な動詞についての研究については昨年度の延長期間のおかげで十分な成果を得ることができたと考えるが、本研究が採用する分離φ素性仮説を具体的に指示するようなデータを示すことがより望ましいと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
分離φ素性仮説は、伝統的な分析におけるD(eterminer)をD1とD2という二つに分離し、D1が人称素性と格素性、D2が数素性と性素性を担うという仮説であるが、これを具体的に示すような他言語のデータや何らかの現象が存在しないか調査したい。幸い、2024年度に招待発表ではあるが口頭発表をする機会を得られたので、その成果までを本研究の成果としたいと考えている。
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Research Products
(3 results)