2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13069
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
森下 裕三 環太平洋大学, 次世代教育学部, 准教授 (30734305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語 / 移動表現 / コーパス / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,英語の移動表現において,経路概念が動詞によって語彙化されるメカニズムを数量的・統計的手法をもちいて解明することを目的としている。そのため,2020年度は,移動表現にかかわる書籍,およびコーパスを利用した言語研究や言語データの統計解析に必要な分析手法を知るための書籍などを多数購入した。また,さまざまな実例を分析する目的で,Corpus of Contemporary American English,そして大量のデータを保存するのに必要なハードディスクを購入した。さらに,移動表現にかかわる経路概念を語彙化した動詞のうち,一部の動詞が生起する British National Corpus の実例を収集し,語用論的要因がかかわっている可能性を示唆する結果を得ることができた。また,この成果の一部を共同研究リポートとして発表した。
移動表現にかかわる実証的研究は,実験によるものとコーパスを利用したものに大別できるが,語用論的要因が関与しているかどうかは,前後の文脈なども容易に確認できるコーパスを利用した研究が有効であることも同時に示すことができるような分析結果が得られた。このように,コーパス研究が,意味論や語用論の研究においても重要な発見につながる可能性を示すことができたというのも今年度の研究成果のひとつだと考えられる。
研究実施計画では,2020年度は,英語の移動表現において動詞が語彙化されるメカニズムにかかわる要因を探ることを主な目的としていた。以上の結果からも,おおむねこの目的は達することができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,2020年度は,移動表現やコーパスを利用した数量的・統計的な意味論および語用論にかかわる先行研究の調査を主な目的としていた。また,英語の移動表現において,ある種の動詞によって経路概念が語彙化される条件として,どのような要因が考えられるのかを検討することをもうひとつの目的としていた。これらの目的はおおむね達したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究において,本研究には語用論的要因が関与する可能性を示唆する結果が得られた。本研究開始当初は,語用論的要因についてあまり重要視していなかった。そのため,今後は,コーパスを利用した語用論的研究にかかわる先行研究の調査と,コーパスの実例を分析していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行拡大にともない,当初予定していた国内外への学会参加に必要だと考えていた旅費が必要ではなくなったため。
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