2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K13069
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
森下 裕三 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30734305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語 / 移動動詞 / コーパス / 分布仮説 / 統計的モデリング / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、英語における移動動詞のなかでも、特に経路概念が語彙化されている動詞 (e.g. enter, leave, come, go) を対象にコーパスを利用した研究を進めてきた。今年度は、British National Corpus (BNC) のデータを利用した分布仮説の基づいた研究によって一定の成果をあげることができた。なお、この成果の一部は既に論文として発表している。 認知言語学などの理論的枠組みに依拠した従来の研究では、コーパスを利用した意味の分析において、研究者が各用例にアノテーションを付与する作業が不可欠だと考えられてきた (e.g. Gries 2012)。しかし、今年度の研究では、任意の語の周囲に生起する語の頻度からベクトルを作ることによって、語をベクトル化する手法を採用した。この手法を採用することで、各研究者による判断に依存せずに自動的に各語をベクトル化することができる。しかも、この手法による分析結果は、本研究の仮説を指示するもので、共起頻度に基づくベクトルのみから、経路概念の違いをおおよそ反映した意味の分析に成功した。 また、深層学習を取り入れた分析手法を採用するなど、より多角的に意味の分析を進める準備も進めることができた。この成果については、全国学会でのワークショップにおいて発表済である。 今後は、Corpus of Contemporary American English (COCA) などの他の大規模コーパスを利用した検証作業、データの可視化、さらに、論文の執筆や投稿などを進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は十分に研究を進めることができたものの、2021年度までのコロナ禍での教育・校務やそのその他の対応のために、進捗は予定より約1年程度遅れている。ただし、2022年度に得られた成果は、本研究課題全体において大幅な進捗をもたらしており、2023年度にも成果として順次論文化していくことができる。 ただし、予定していた全ての研究成果を2023年度末までに発表することは難しいため、1年の補助事業期間の延長を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までに、計画していた研究手法の確立まで進めることができたため、2023年度以降は、確立させた手法に基づき、多角的なデータ分析、国内外での学会における成果発表、そして、論文の執筆を予定している。特に、言語学関連の学会のみならず、計算言語学や自然言語処理などの分野でも成果を発表していくことによって、研究成果の妥当性を示していく予定である。
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Causes of Carryover |
本助成金事業への申請の際に計画していた国内外への学会参加の多くが、コロナ禍で遠隔での実施を余儀なくされたことによって、現地への旅費などが予定通り請求できなかったことが大きな理由である。また、2021年度までに予定していた国内外の学会での成果発表ができなかったことにともなって、論文の執筆が遅れ、そのために論文の校閲費用などが請求できていないことも理由のひとつである。
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