2020 Fiscal Year Research-status Report
社会ネットワーク分析を用いた留学生の言語習得プロセスの縦断的研究
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20K13075
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
半沢 千絵美 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 准教授 (10734139)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会ネットワーク分析 / 日本語習得 / 留学生 / SNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本の大学に留学している異なる立場の留学生(学部留学生・大学院留学生・交換留学生)の「社会ネットワーク」「言語使用状況」「日本語能力」を分析し,留学中の他者との関わりと言語使用状況が言語習得プロセスにどのように影響するかを考察することである。社会ネットワーク分析(Social Network Analysis)を用いることで,留学生の人間関係を図式化し,その変化を可視化することが可能となる。その社会ネットワークデータの収集とともに,留学生が日常生活でだれとどの言語を用いているのかを記録し,言語インプットや他者との意味交渉で使われる言語の質と量を分析する。さらには,留学開始時,途中,終了時の日本語能力の測定を実施し,日本語能力の変化も分析対象とする。長期的にデータを集めることでこれまでは見えてこなかった社会ネットワークと言語習得の関連性を導き出すのが狙いである。 2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため留学生の新規入国が制限され、オンライン授業が中心となったため、当初の予定を変更して研究手法の確立のためのパイロットスタディを実施することにした。2020年度前半は文献研究や学会参加で情報収集をし、パイロットスタディの準備を進めた。2後半は3名を対象に2020年10月から2021年3月までの5カ月間にわたるデータ収集を実施した。3名の留学生を対象に、日本語能力の判定、社会ネットワーク分析のためのアンケートとインタビュー、日本語データ収集のためのインタビューを実施した。その結果、2021年度の本格的データ収集につながる研究手法の見直しが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、留学生の来日が困難となり、当初予定していた予定を変更せざるを得なかったが、3名分のデータを収集したこと、2021年度から予定している本格的データ収集の基盤構築が可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は留学生の入国状況を注視しつつ研究を進めて行く予定である。本研究は他者とのつながりを重要視しており、日本に在住している留学生を対象としている。また、縦断的に留学生の社会ネットワーク、日本語能力、日本語使用の変化を見るため、可能な限り新入留学生を対象にしたいと考えている。そのため、留学生に対する入国制限が緩和されない限り、調査対象者の確保が難航するとみられるが、可能な限りデータを収集しておく予定である。また、2020年度に収集したパイロットデータも分析を進め、学会発表や論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、インタビューの文字化作業の依頼が2021年度からとなったため、その分の予算が未使用となっているためである。2020年度に収集したデータは2021年度も引き続きデータの文字化およびデータ整理を行っていくため、短期雇用を依頼して作業を進める予定である。 2021年度の予算については、調査参加者への謝礼、文字化およびデータ整理の短期雇用、OPI実施謝金が主なものになるが、新型コロナウイルスの感染拡大状況をみつつ、学会への参加も検討する。
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