2021 Fiscal Year Research-status Report
上級日本語学習者のスピーチスタイルに対する認識とその変容過程の調査研究
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20K13076
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
岡崎 渉 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (90791070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スピーチスタイル / 上級日本語学習者 / 言語社会化 / デスマス形 / 非デスマス形 / 気づき |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語学習者のスピーチスタイルの運用能力を向上させるには,学習者がスタイルに対し抱き得る認識を把握する必要があるが,この点に関する研究は進められていない。そこで本研究では,新規で来日する上級日本語学習者である留学生が,日本でのどのような学習や経験を経て,スピーチスタイルに関する認識をどのように変容させていくのかを調査するものである。 だが,2020年初め頃からのCOVID-19の蔓延にともなう入国制限措置により,2021年度も2020年度に続き,本研究の調査対象者に設定していた新規の短期留学生は入国できず,調査を進めることができなかった。 2021年度は,調査対象者に実施するテストについて,2020年度に実施した予備調査の結果をふまえ,その改善を図った。 また,研究実施計画書には含めていないが,手持ちの会話データを用い,母語話者のスピーチスタイルの運用実態について,さらなる研究を進めた。従来,デスマス形会話における非デスマス形へのシフトは,ポジティブ・ポライトネスの側面ばかりが着目されてきたが,ネガティブ・ポライトネスの側面は着目されてこなかった。これをふまえ,母語話者は非デスマス形へのシフトにより,どのようにネガティブ・ポライトネスの機能を果たしているのかを調査した。この成果は,2022年度に学会誌に投稿し発表する予定であるが,日本語学習者によるスピーチスタイルの運用を検討する上で有益な知見になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の蔓延による入国制限措置により,本研究の調査対象者に設定していた新規の短期留学生が入国できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在来日している,あるいは近々来日予定である2名の短期留学生に対し予備調査を行う。留学生の入国状況が順調であれば,後期に来日する短期留学生10名程度を調査対象者として確保することができるため,予備調査の結果をふまえ,本調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度に続き,新型コロナウィルス感染症の影響で,調査対象者に設定していた留学生が来日できない状況が続いたため,調査を実施できず,次年度使用額が生じた。2022年度は留学生が来日し次第,調査を開始する。助成金の使用計画としては,当初計画していた通り,主に調査協力者である留学生への謝金,採取したインタビュー音声の文字起こしの外注費用に加え,可能であれば学会発表のための旅費として使用する予定である。
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