2022 Fiscal Year Research-status Report
タンデム学習を取り入れた日本語教員養成プログラムの開発
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20K13077
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
末繁 美和 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (60638998)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タンデム学習 / 日本語教員養成 / 外国語相互作用分析システム / 授業分析 / 直接的・間接的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、実践力を身につけた日本語教育人材育成を目標とした、日本語学習者とのタンデム学習を取り入れた教員養成プログラムを構築することである。 2022年度については、前年度に構築したタンデム学習のデザインの実践および効果測定を行った。日本語教育副専攻の日本人学生5名と初級修了レベルの日本語学習者5名をマッチングし、2022年9月から10月にかけて、ペアで1回1時間(日本語30分・英語30分)のEタンデムを合計8回、約4週間に渡って実施した。タンデムにおける日本語学習に関しては、タスクベースの教材を用いた。Eタンデムが日本語教育副専攻の日本人学生の日本語教授にどのような影響を及ぼすのかを観察するため、Eタンデム前と後に、初級日本語学習者2名程度に対するオンラインでの日本語授業(一人当たり2回)を設定し、日本人学生に教師として教授してもらい録画を行った。また、事前事後アンケート、フォローアップ・インタビュー、タンデム中の学習日記の記録についても実施し、分析対象とした。 外国語相互作用分析システム(Moskowitz, 1971)を用いた日本語授業分析の結果、(1)教師の平均発話数が学習者より多いこと、(2)教師の発話における直接的行動の平均値が間接的行動の約2倍であったことが示された。また、この教師主導の傾向は、タンデムを経ても変わらないことが分かった。一方で、Eタンデムで経験した双方向のやり取りを日本語授業において意識的に取り入れたとアンケートに回答した日本人学生2名は、間接的行動の下位項目である「賞賛,勇気づけ」および「質問」の数値がタンデム後に顕著に増えており、学習者の参加や発話を促す行動が積極的にとられていた。このことから、両者の「教授」が有機的に結びついた場合に、一部ではあるが教授行動に変化が生じる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、当初対面により実施予定だった教育実習をオンラインに変更して実施することになり、授業のオンライン化が及ぼす影響を考慮して分析し直す必要が出てきた。また、タンデム学習についても、オンラインで実施可能なEタンデムを中心に実施することに変更したため、デザイン構築にあたり、追加の文献収集や分析が必要となった。このような事情により、最終年度の2023年度までに予定していた研究内容が達成できなかったため、補助事業期間延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度のタンデム学習の実践および効果測定の結果を踏まえ、デザインの再構築を行う予定である。具体的には、Eタンデムが日本語教育副専攻の学生の日本語教授に及ぼす影響について分析した結果、Eタンデムと日本語授業における「教授」が有機的に結びついた場合に、一部ではあるが教授行動に変化が生じる可能性が示唆されたため、両者の関連性を意識化できるデザインに改良する予定である。また、アンケートおよびインタビュー結果より得られたEタンデムにおける目標設定や教材等の問題点についても改善を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、参加予定の学会等がオンラインになり、旅費等の支出がなかったため。また、COVID-19の影響を受け、対面ではなくオンラインでの調査に変更した部分があるため、それに伴う物品購入費用、研究補助の人件費、旅費等の支出がなかったため。
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