2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13078
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
藤 美帆 広島修道大学, 人文学部, 講師 (40778825)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葛藤要因 / 葛藤内容 / 対処方略 / グループ活動 / 計量テキスト分析 / 異文化接触 / 国際交流 / 外国人留学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際共修場面において学生同士及び学生と教師との間に生じる異文化間葛藤と対処行動を解明することである。それにより、国際共修クラスの円滑で効率的な授業運営方法を確立するための知見を得ることを目指している。 初年度にあたる令和2年度は、学生間に生じる異文化間葛藤の特徴を解明するための質的研究を行った。具体的な手順は次のとおりである。①国際共修科目の受講経験を対象に実施した延べ42名分のインタビュー音声データの書きおこしを行い、データを整備した、②対象者を葛藤及び否定的感情の有無別に分類し、計量テキスト分析の手法を用いた語りの比較分析を行った、③葛藤事例を抽出し、葛藤内容及び対処方略についてKJ法を用いて事例を整理・分析した。 これらの結果得られた成果としては、次の2点が挙げられる。まず、インタビューデータの計量テキスト分析を通して、クラス内での学生間の「交流」に関する意識の差が葛藤の一因となっているという知見が得られた。次に、葛藤事例の質的な分析によって、受講生がどのような事柄に葛藤を抱くのか、また、それに対してどのように対処しているのかという特徴が明らかとなった。さらには、国際共修クラスでの異文化間葛藤を学びのリソースとするための示唆も得られた。 今後はこれらの質的研究から得られた知見の検証を行うべく、量的研究へと発展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は以下のとおりである。 ①既に備えてあったインタビュー音声データ(国際共修受講経験者延べ42名分)の文字化作業が完了した。 ②内容分析の結果、国際共修場面における葛藤内容や対処方略の特徴及び葛藤の要因を明らかにすることができた。また、研究成果を学会にて発表することが決定している。 ③所属機関における研究倫理審査委員会からの承認を得ることができ、令和3年度以降開始予定の調査の準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下のとおりに研究を進める予定である。 ①学生間の異文化間葛藤に関する質的研究の分析結果を学会にて発表し、論文にまとめる。 ②国際共修科目担当経験のある教師対象のインタビュー調査を行う予定である。 ③仮説検証を目的とした質問紙調査の実施に向けて、質問項目を作成する予定である。 なお、令和3年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響により、対面によるインタビュー調査の実施が困難となることが予想される。オンラインによる実施または質問調査への変更なども検討しており、状況に応じて柔軟に対応する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、旅費が必要なくなったためである。2020年度に参加を予定していた国内外の学会や研究会が全てオンラインでの開催となり、次年度使用額が生じた。 2021年度は、質的データの分析結果の学会発表を行う予定なので、交通費などに使用する予定である。また、国際共修科目担当経験のある教師を対象としたインタビュー調査を実施する予定なので、そのための交通費、謝金、データの文字化費用に充当する。さらに、コーディングにおいては、妥当性を担保するために複数名での確認作業を行うため、その謝金にも充当する計画である。
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