2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13078
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
藤 美帆 広島修道大学, 人文学部, 講師 (40778825)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葛藤要因 / 外的要因 / 葛藤内容 / 対処方略 / 意識の差 / グループ活動 / PM理論 / 状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際共修場面で生じる異文化間葛藤を解明することである。それにより、国際共修クラスの円滑で効率的な授業運営方法を確立するための知見を得ることを目指している。 二年目にあたる令和3年度は、主に以下の2点の研究に取り組んだ。 まずは、教員を対象とした質的研究である。国際共修科目担当経験のある教員を対象にインタビュー調査を実施し、計10名のデータを収集した。それにより、国際共修における葛藤を捉える上では、当事者間の意識、技量、語学力の差に加えて、社会的制度、教員の専門性、学生が身を置く状況などが大きく影響しているという知見が得られた。これまで、異文化間葛藤は日本人と外国人との間に生じるものとして二項対立的に捉えられ、それに対して異論を唱える活発な議論がなされてきた。つまり、葛藤の要因を当事者の思考や価値観などの内的要因に求めてきたが、本研究からは、場面や状況などの外的要因にも目を向ける必要があることが示唆された。令和4年度は、更なるデータの収集を重ね、学術的方法論に基づいた分析を通して、この知見を研究成果としてまとめる予定である。 次に、学生を対象とした質的及び量的研究である。令和2年度に取り組んだ質的研究からは、学生間に生じる葛藤の要因、内容、対処方略について、国際共修場面ならではの特徴が明らかとなった。令和3年度は、そこから生成した仮説を検証するために、オンラインによる量的調査を開始した。令和4年度以降は、引き続き量的調査を継続し、国際共修クラスでのグループ活動を円滑に行うための知見獲得を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由は以下のとおりである。 1)国際共修受講生が抱く葛藤の内容や対処方略の特徴及び葛藤要因に着眼した質的分析を行い、研究成果を学会にて発表した。 2)既に備えていた学生対象のインタビューデータでは、協力者の属性に偏りが生じていたため、追加のインタビュー調査を実施した。初年度は、協力者の確保が難しい状況であったが、インタビュー調査の形態を対面からオンラインへと切り替えたことにより、数十名程度の協力者確保が可能となった。 3)上記質的研究から生成された仮説検証を目的とした質問紙調査を開始した。量的調査は、令和4年度より開始する予定であったが、現時点で質的研究による仮説が生成できたため、令和3年度からの着手が可能となった。現時点では約70名からの回答を得ている。今後も引き続き調査を継続し、最終的には150名程度のデータ収集を目指す。 4)国際共修科目担当経験のある教師対象のインタビュー調査を実施し、計10名のデータを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下のとおりに研究を進める予定である。 1)令和3年度に学会にて発表した質的研究の成果を論文にまとめる。 2)データの属性の偏りを解消するために、追加のインタビュー調査を継続して実施する。計15名程度のデータが集まり次第、既に備えてある計25名分のデータと統合して分析を開始し、その研究成果を論文にまとめる。 3)150名程度のデータ収集を目指し、質問紙調査を引き続き継続する。データが集まり次第、分析を開始し、その研究成果を学会にて発表する。 4)国際共修科目担当経験のある教師対象のインタビュー調査については、計20名程度のデータ収集を目指し、引き続き調査を継続する。また、データが集まり次第、分析を開始し、その結果を学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
令和3年度に参加を予定していた国内外の学会や研究会は、全てオンラインでの開催となった。さらに、令和3年度は国際共修科目担当経験のある教員を対象としたインタビュー調査を実施したが、全てオンラインでの実施となり、次年度使用額が生じた。 コロナ禍の長期化により、次年度使用額が当初の計画よりも大幅に増額している。このことから、学生及び教員対象のインタビュー調査を追加で実施することが可能となった。データに厚みを持たせるために、令和4年度は、質的データの収集を継続して実施する。次年度使用額は、謝金やデータの文字化費用に充当する。また、感染状況に鑑み、可能であればインタビューは対面で行う計画である。その場合は、交通費に充当する。加えて、令和4年度は量的調査を本格的に開始するため、データ分析ソフトやパソコン周辺機器を購入し、研究環境の整備を行う。
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Research Products
(4 results)