2020 Fiscal Year Research-status Report
日本語教育における翻訳活動に関する基礎研究と指導用教材の開発
Project/Area Number |
20K13079
|
Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
行木 瑛子 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (40781208)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 日本語教育 / 翻訳 / 教材開発 / 複言語・複文化能力 / 文化教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①翻訳活動の実践研究を通して基礎研究を充実させること、さらに②日本語教育における翻訳実践の現状を把握し、実践を困難にさせている要因を探ること、そして①②の結果をもとに日本語教師向けの翻訳の指導用教材を開発し、教育現場に還元することをその目的とする。令和2年度は、主に上記の「①翻訳活動の実践研究を通して基礎研究を充実させること」に重点を置いて研究活動を行った。具体的には、(1) 過去に収録済みのデータの分析・論文執筆、(2) 新たな実践授業のデータの収集・整理、(3) 令和3年度実施予定のオンラインアンケート調査の準備を行った。
(1) 収録済みデータの分析・論文執筆:初級・中級クラスにおける翻訳活動の実践で収集したデータの分析・論文執筆を継続した。翻訳がいかにマルチリテラシーズ(Multiliteracies)の育成に寄与するかを考察した論文(韓国外国語大学校のVivian Lee氏との共著)を発表し、また、収録済みデータに関して、2本の論文を査読付学術誌に投稿した。 (2) 新たな実践授業のデータの収集・整理:2020年度4月~7月に中上級学習者・日本語母語話者の共修授業において新たに翻訳活動の実践を行い、以下のデータを収集した。(a)学習者の授業中のディスカッションの録音データ(約13時間分)、(b)各授業後に学習者が提出した翻訳課題・授業の振り返りシート、(c)授業後に行った個別インタビュー(約9時間分)。また、一部の録音データの書き起こし作業・データの整理も行った。 (3) オンラインアンケートの準備:令和3年度に実施予定のオンラインアンケートに関して文献調査を行い、アンケート調査に含める項目や結果の分析方法を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、(1) 過去に翻訳活動の実践で収集したデータの分析、(2) 上級学習者向けのクラスにおける新たなデータの収集を目的としていた。新たなデータ収集の対象が、上級学習者向けクラスから、中上級学習者・日本語母語話者の共修授業(ZOOMによるオンライン授業)に変更となったものの、「翻訳活動の実践研究を通して基礎研究を充実させる」という当初の目的に沿った活動ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、新規に収集したデータの分析や、過去に収録済みのデータに関する論文執筆を進める。さらに、日本語教育における翻訳実践の現状を把握し、実践を困難にさせている要因を探るため、日本語教師を対象にアンケート調査・インタビュー調査を行う予定である。また、これまでの調査結果に基づき、指導用教材(ウェブサイト)の開発も開始する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大により、主に対面での学会発表・参加ができなかったこと、また、データ収集をすべてオンラインで行ったことにより録画・録音にかかる費用が削減されたことで、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、コロナウィルス収束後の学会発表・参加で使用することを考えている。
|