2020 Fiscal Year Research-status Report
日本企業で働く外国人社員のビジネス日本語力に関する縦断的調査
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20K13081
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 綾乃 横浜市立大学, グローバル教育センター, 特任准教授 (40812566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビジネス日本語 / 外国人材 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本企業で働く外国人が、業務を行う上でどのような日本語が必要となり、その必要な日本語をどのように、どのくらいの期間で身につけるのかを明らかにすることである。 2020年度は、東京都内のIT企業1社(A社)に勤務する外国人社員12名と、A社とは異なるIT企業に勤める外国人社員2名(B社・C社)を対象に、パイロット調査を行った。調査は2020年8月~9月に第1回目を、2021年3月に第2回目を、いずれもオンラインでのアンケート・インタビューの形で実施した。 第1回目の調査では(1)「ビジネス日本語Can-do statements」を用いた自己評価アンケートと(2)筑波大学日本語・日本事情遠隔教育拠点のTTBJ(筑波日本語テスト集)より「SPOT90」を用いた日本語のレベルチェックを行った。その後インタビューで(1)の回答について詳細に聞いたほか、日本語学習歴や日本で働くことにした理由等についても尋ねた。その結果、ITに関する専門的な日本語の用語で困難を感じているほか、日本人社員とのやりとりにおいては特に聞き取りに問題を抱えている外国人社員が多く見られた。一方、(1)「ビジネス日本語Can-do statements」について、設問の中に業務上行うことがないものが複数あることがわかった。 そこで第2回目の調査では、「ビジネス日本語Can-do statements」を元に業務リストを作成し、その業務を日本語で行うか・日本語以外の言語で行うか・その業務自体を全く行わないかを尋ねた。その結果、業務によっては英語や母語で行う必要がある場合があること、勤務年数等によってコミュニケーションの相手が社内(同僚・上司)か、社外(同じチームで仕事をする他社の社員・クライアント)かが異なることがわかった。 今後、以上2回のパイロット調査について詳細に分析し、学会等で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は当初予定していた通り、パイロット調査を実施した。研究協力者、および協力企業の協力により、当初予定していたよりも多く、また勤務年数や日本語レベル、国籍等の背景が異なる外国人社員を対象に、パイロット調査を行うことができた。しかし、予定よりも人数が増えたことによりデータ収集と分析に時間がかかり、予定していた2020年度中のパイロット調査分析を終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2回のパイロット調査について詳細に分析を行い、本調査で用いるアンケートおよび調査方法を決定させる。本調査の実施形態・頻度については、調査協力企業と相談の上、2021年度中に少なくとも2回行う。また、パイロット調査の分析結果について学会等で発表する。最終年度となる2022年度には、本調査について分析を行い、学会発表等により、日本語教育関係者だけでなく、外国人社員の支援に関わる非日本語教育関係者、外国人社員を雇用する企業に対しても、本研究の成果を共有していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではパイロット調査を対面で行う予定だったが、新型コロナウイス感染症の影響により、すべての調査をオンラインで実施した。また、参加予定だった学会・研究会、研究協力者との打ち合わせ等もすべてオンラインになったため、旅費の使用がなく、繰り越しが生じた。2021年度は、対面での調査も実施したい。
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