2023 Fiscal Year Research-status Report
長期的な活動運営を目指した日本語多読活動支援者マニュアルの開発
Project/Area Number |
20K13084
|
Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
高橋 亘 神田外語大学, 留学生別科, 講師 (60823193)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 日本語多読 / 多読活動支援 / 多読活動支援者 / 日本語教育 / 長期的な活動支援 / マニュアル / 自律的教室外多読 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語多読活動における支援者の長期的な成長を分析し、活動をより円滑に、効果的にかつ長期的な活動運営を行うための支援者用マニュアルを開発するものである。日本語多読活動支援者が多読活動時に注意すべき事項、そして長期的に活動運営を行っていく上での支援方法を明らかにする。また、分析結果をもとに、支援者による長期的な活動運営を行うにあたり、効果的な方法を提言する。 2023年度は、以下のことを実施した。①引き続き、国内外の日本語学習者に対する縦断的インタビュー調査を実施した。彼らから日本語多読実施状況の変化や読みの実態、図書の入手方法の変化について聞き取りを行った。その上で、社会的要因や協力者個々人の背景の変化による日本語多読実施の変容について分析を行い、学習者・支援者に対する示唆を探った。②2023年5月から多読に関するインターネットラジオ放送を開始し、2023年度は22回配信を行った。これは、国内外の多読支援の実態を明らかにするほか、学習者の多読実践の実態を明らかにすること、さらに日本語多読をはじめとした多言語多読に関する知見を社会に広く周知していくために行ったものである。日本語、英語、韓国語の多読支援者15名に対しては、多読支援の実際や支援時に注意すべき点、そして長期的に多読支援を続けている理由や効果的な支援方法について聞き取りを行い、長期的な多読支援に必要な点を探った。さらに、日本語学習者として多読活動を経験した3名に対しては、活動や授業外での多読実践について放送内でインタビューを行った。③日本語学習者に対する縦断的インタビュー結果の一部を分析し、学習者の多読実施中における読み方の設定に関する論文を1本執筆した。そして、日本語多読を周知させるため、また本研究課題までに得られた成果を整理して伝えるために連続講座を担当したほか、学内研修会においてワークショップ形式で発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目下検討すべき項目であった日本語多読支援者に対するインタビュー方法が固まり、調査を開始した。しかし、より多くの支援者への調査や分析が必要なため、さらにホームページへの研究成果公開等を行う必要があるため、補助事業期間を延長せざるを得なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により調査方法や分析方法の見直しが求められていた支援者に対するインタビュー調査結果の分析を実施し、支援者が長期的に日本語多読支援を続ける方法や理由を明らかにする。また、日本語多読を長期的に実践中の日本語学習者に対する聞き取りを継続する。その上で、各々のケーススタディーとして、これまで調査協力者がどのように長期的に日本語多読支援や多読実践を行ってきたのかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍は収束したものの、今年度は家庭の事情により、海外出張を中止せざるを得ない状況が続いた。この出張は、以下の3点を目的として実施する予定である。順に、①長期的な多読支援を実施している教育機関を見学し支援の実態を知ることによって、研究課題達成に向けた知見を得るため、次に②海外や日本国内における日本語学習者や多読支援者に対する対面インタビュー調査のため、最後に③再開されつつある対面での学会・研究会に参加し、研究課題について情報共有を行うためである。特に①については、オンラインビデオ会議システム上では教育機関における日本語多読活動支援に関する全ての情報を把握しきれないことが予測される。そのため優先順位が高く、極めて重要であると考える。次年度では上記出張費用に充当する予定である。 ただし、万が一海外出張が引き続き叶わない可能性があることから、本研究課題で得られた知見を広く公開するため、そして研究課題である長期的な日本語多読支援を続ける方略等について有識者に聞き取りを行うため、2023年度よりインターネットラジオ番組を開始した。しかし、番組アーカイブ音声の公開等、今年度は計画通りに課題遂行が難しいものもあった。そこで、2024年度は上記に代表される残された研究課題を遂行する。さらに、調査対象者への謝礼、調査データの文字起こし費用にも使用する。
|