2022 Fiscal Year Research-status Report
The effect of text revision on L2 Japanese readers' reading process
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20K13087
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
和氣 圭子 上智大学, 言語教育研究センター, 講師 (00823816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 書き換え文 / 読解過程 / 思考発話法 / 日本語学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、文章の書き換えによるL2日本語学習者の読解への影響について、思考発話(think-aloud)法を用い、読解中の処理についてオンライン測定を行い、検証することを目的としている。これまでの研究で、読後の理解測定(オフライン測定)は行ってきたが、そこに読解中の過程分析を組み合わせ、オンラインとオフラインの2つの測定から総合的に考察することを目指している。協力者については、母語背景、習熟度と学習環境の影響を抑えるため、研究代表者の担当する語学科目に在籍する英語母語の中級日本語学習者に限定している。 令和4年度の前期は、まだコロナ禍にあったため、依然として日本に入国できない留学生がかなりの数に上った。そのため、条件に合う協力者の募集も困難であったし、一人一人と対面で行う方法の調査も困難であったため、実施を断念した。しかし、後期には入国規制が緩和されたため、条件に合致した3名の学習者を対象に調査を実施し、データを収集した。収集したデータは、1)日本語習熟度テスト、2)2つの文章の読解中の思考発話の録音データ(L1英語)、3)読解後の筆記再生データ(L1英語)、4)読解後の多肢選択理解問題の解答(L2日本語で実施)、5)文章材料についてのアンケート、である。 データ分析・検討のためには少なくともさらに10名のデータを収集する必要がある。次の令和5年度には引き続きデータ収集を行い、思考発話データの文字化と内容分析を進め、読解中の処理過程を探る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度から4年度にかけ、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、計画していた研究内容を実施することがかなわなかった。まず、調査は調査者と協力者が対面で行う必要があるが、調査協力者として予定していた日本語学習者の多くが来日を取りやめたため、調査に応じられる協力者がほぼ皆無だった。このため、令和4年度後期から調査に取りかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の手順は大きく4つの段階に分けられる。1)材料の準備、2)調査データの収集、3)データの分析・考察、4)成果のまとめと発表、である。 令和4年度より2)調査データの収集中で、令和5年度も引き続きデータを収集する予定である。英語母語の中級日本語学習者15名程度、また、分析のベースラインとして日本語母語話者にも協力を仰ぎたい。 その後、3)の分析では、発話を文字化し、読み手の行っている言語処理やストラテジー使用を観察する。そこから、文章の書き換え項目・書き換え手法と読み手の処理との関連,さらに読み手の理解との関連を明らかにすることを目的としている。 今後の1年間で2) と3)を可能な限り進めたいが、計画よりも約2年半進行が遅れているため、研究期間の不足が最大の課題と思われる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、協力者に対する対面調査が実施できない状況が続き、当初の計画よりも2年半遅れて調査を開始した。調査が実施できなかった理由は、調査対象として予定していた留学生(日本語学習者)が入国できない状況が続き、協力者の条件に合致し、かつ対面調査に応じられる人が募集できなかったこと、対面調査の実施そのものが困難であったこと、である。そのため、研究期間を1年間延長し、次年度にできる限り遅れを取り戻して計画を進めることにした。 経費は、調査で用いる録音機器の購入、データ提供者(調査協力者)への謝金、データ分析協力者への謝金、先行研究の参照とデータ分析のための関連書籍・資料の購入、データ管理と分析に用いるPCの購入に充当する予定である。
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