2020 Fiscal Year Research-status Report
中学校の国際教室と学外支援者の連携による持続可能な学習支援についての研究
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20K13088
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宇津木 奈美子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90625287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外国をルーツとする生徒 / 教科学習支援 / 母語 / 国際教室 / 学外支援者 / 支援者支援 / 当事者性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国をルーツとする生徒(以下、生徒)の学習支援において長期にわたって協働的支援をしてきた国際教室と学外支援グループの事例を対象に、国際教室担当教員と学外支援グループのコーディネーターがどのような意識で連携および運営をしてきたのかを明らかにし、その意義と課題を考察することが目的である。多様な背景を持つ児童生徒が増加する学校現場に、持続可能な学習環境の構築についての新たな視点を示唆することを目指す。初年度である2020年度は、以下の三つの研究活動を行った。 1.2020年6月から2021年1月にかけて、公立中学校で行われた母語を活用した国語の教科学習支援を実施し(全22回)、教室談話データおよび支援者による支援記録を収集した。支援者は中国出身者が2名、日本人が4名である。また、支援の対象となった生徒は中学3年の中国出身の生徒4名、フィリピン出身の生徒1名である。 2.2020年8月と2020年1月に、中3国語の教材に関しての勉強会を開催した。支援経験の共有や支援における生徒らの様子などの情報交換を行った。勉強会を開催したことで、支援者が課題だと考えている点や、支援の状況が把握でき、今後必要とされる支援者へのサポートについての検討ができた。 3.教科学習支援や支援者支援に関する文献・資料を収集し、外国につながる生徒の支援環境の構築についての文献調査を行った。これらの調査や支援記録を基に、学外支援グループメンバーや国際教室担当教員に対するインタビュー項目を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は学習支援および教材についての勉強会の実施、それらに関連するデータが順調に収集することができた。教材についての勉強会を通して、支援者間で意見交換を行った。さらに、支援者に対してどのようなサポートが必要なのか検討することができたため、今後の研究計画における新たな視点を持つことができた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、インタビュー調査の調整ができなかった。次年度(2021年度)は、引き続きコロナウイルスの感染の状況や国・自治体の施策を鑑みながらインタビュー調査の計画を調整していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き公立中学校における母語を活用した教科学習支援を実施していく。その上で、以下の点について調査、分析を進める。 1.学外学習支援グループのコーディネーターを対象に半構造化インタビューを実施する。 コーディネーターの学校及びグループ内の支援者に対する働きかけや意識を明らかにし、その意識が学習支援にどのように表れていたのかを分析する。 2.国際教室担当教員を対象に半構造化インタビューを実施する。国際教室担当教員が何をどのような意識を持って新任の担当教員に引き継いできたのか、さらに、どのような意識を持って外部組織に働きかけてきたのかを明らかにし、その特徴を分析する。 3.教科学習支援者に半構造化インタビューを実施する。教科学習支援において、支援者自身がどのようなサポートを必要としているのかを明らかにし、その特徴を分析する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、インタビュー調査が年度内に実施できず、文字起こし作業に着手できなかった。そのため、「人件費・謝金」の使用がなかった。また、学会や研究会がオンラインで開催されたことにより、「国内旅費」も使用がなかった。2021年度は、引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止の状況が懸念されるが、インタビュー調査については、ZOOMなどのツールの活用も検討しながら進めていく。2021年度は残額を合算し、音声データの文字起こし謝金に使用する予定である。
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