2022 Fiscal Year Research-status Report
Argument construction of Japanese university students in academic essay writing
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20K13091
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
嶼田 大海 青山学院大学, アカデミックライティングセンター, 助教 (10780140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アカデミック・ライティング / 大学初年次生 / 論証型レポート / 意見構築 / 引用による取り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
学術的文章作成における大学生の意見構築を研究テーマとして、特に初年次生の論証型レポートにおける引用による外部情報の取り込みに着目した調査を進めています。2022年度は、大学初年次生23名から論証型レポート(約3,000文字)の文章データを収集し、書き手の主張(argument)に対して引用部がどのように位置付けられているかを分析しました。その結果、書き手の主張に対するサポート関係(テキストの繋がり)を明確に示せている例がある一方で、引用部の位置付けが不明瞭、不適切となっている例も多く見られました。本研究では、学生が書いた文章への帰納的コーディングを通して「取り込み」事例に基づく類型分類と「取り込みの失敗」が生じた事例の抽出を行いました。さらに、引用技能(citing competency)に関する国内外の先行研究を踏まえ、なぜ「取り込みの失敗」が生じるのかについて本研究の事例から考察しました。引用による外部情報の取り込みは、大学初年次生がとりわけ困難を覚えやすいものの、授業等における指導が十分に行き届いていないことが知られています。本研究では、そうした初年次生の論証型レポートにおける外部情報の取り込みの実態と課題を具体的な事例とともに描き出すことを目指しています。本研究の「取り込み」(および、「取り込みの失敗」)事例に基づく体系的な整理は、大学初年次ライティング教育における効果的な引用指導に示唆を与えるものと考えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に収集した文章データについて、コーディングを進めつつ論文執筆を行っています。文献調査により理論的、分析的枠組みを固める(あるいは、修正する)作業も継続していますが、年度内には研究成果をまとめられる予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は9月頃を目途に研究成果をまとめ、論文投稿を行う予定です。
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Causes of Carryover |
研究期間中における新型コロナウィルス感染症の影響により、当初予定していた研究計画を変更せざるを得ない状況となり、データ収集および分析方法を変更したことが次年度使用額が生じた理由です。上記の「次年度使用額」は主に文献購読費、研究上に必要な機器の購入費、(論文投稿の際の)英文校閲費、学会参加のための旅費および参加費に充てる予定です。
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