2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の多様な言語生活に対応したバリエーション教育開発のための基礎研究
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20K13092
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
任 ジェヒ 立教大学, 日本語教育センター, 教育講師 (90824136)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バリエーション / ことばの多様性 / 使い分け / スタイル / 日本語学習者 / 実態調査 / 意識調査 / 困難点調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語学習者の一層の多様化が見込まれる中、表現、理解すべきことばの多様性をいかに扱うかは重要な課題である。ことばの多様性は「バリエーション」の問題として言語教育の普遍的課題とされてきた。しかし、学習者の多様化が考慮されず、言語研究の成果をそのまま移行することが多かったことから、バリエーションの何をどのように扱うべきかが明確でないという指摘がある。本研究は、この課題を受け、日本語学習者の多様な言語生活・学習環境に対応できるバリエーション教育は何を学習項目として取り上げるべきかを追究し、学習者の多様な社会参加に役立つ日本語教育の具体的かつ新たな在り方の提案を最終目的とするものである。上記の目的のもと、次の4つのステップによる研究計画を立てた。ステップ1)日本語学習のニーズがある場面を学習環境別に把握すること。ステップ2)場面に応じて使い分けが行われている言語形式を把握すること。ステップ3)言語形式の使い分けに対する日本語学習者の使用意識や困難点を把握すること。ステップ4)学習環境間の共通性と学習環境別の個別性を考察し、学習者の社会参加に役立てること。 2020年度は、ステップ2)と3)を目的としたケーススタディとして、留学生の言語生活・学習環境を取り上げ、主に「表現」(産出)に注目して、日本語の使い分けに関する実態及び意識調査を実施した。その結果、種々の言語形式の使い分けに対する留学生の使用意識や困難点の把握は、産出と理解に対する総合的アプローチが必要であることが課題となった。 この課題を受け、2021年度は、留学生の「理解」に注目して、日本語の使い分けに関する実態及び意識調査を実施し、その成果の一部を下記の論文にまとめ、発表した。
任ジェヒ、2022、「日本語学習者は雑談をどのように理解するか-話題を理解する過程に注目して-」、『日本語・日本語教育』、第5巻、153-169
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における最終ステップ4)の課題は、「学習環境間の共通性と学習環境別の個別性の考察」である。そのため、留学生、宿泊業従業者、結婚移住女性など、異なるコミュニティを5つ程度選別し、コミュニティ別25名前後の日本語学習者に日本国内での言語生活(主に対面)を言語日誌に記録してもらう予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が長期間続いたため、当初計画していた言語生活の記録が困難な調査協力者が複数名あらわれた。さらに、入国制限により来日できなくなった調査協力者もいたため、調査協力者の再募集に当初の計画より時間をかける必要があった。 上記のような状況の中、日本語学習者の多様な言語生活を調査対象とすることには限界があると判断したため、1つのコミュニティ(留学生)に焦点をしぼり、ケーススタディを行うことにとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ケーススタディとして行った留学生に対する「表現」(産出)及び「理解」調査を、多様な言語生活を送っている日本語学習者に依頼し、当初計画していた学習環境別の特徴を把握していく必要がある。2022年度に入ってから入国制限の緩和がみられているため、これまで入国できなかった技能実習生や結婚移住女性などの調査協力者にも、言語日誌の記録を、許可を得た上で依頼することができると思われる。また、新型コロナウイルス感染症の状況次第ではあるが、2022年度は、これまで実施できなかった、個人密着法による自然談話収集も実施可能性が高まると予想される。自然談話収集においては、調査協力者本人だけでなく、談話参加者全員に許可を得る必要があり、個人情報の保護に関して更なる配慮が求められる。そのため、調査実施前に個人情報の保護に関する説明を協力者全員に口頭及び書面にて行い、談話参加者全員から許可を得た場合のみ、談話収集を行う。 なお、2022年度は、必要に応じてグループインタビュー調査及びフォローアップインタビュー調査を全員から許可を得た上で実施し、言語日誌や自然談話収集では得られなかったデータを確保する予定である。対面での実施が難しいと判断した場合は、Zoomなどのツールを利用した非対面調査を実施する。 最終的には、言語日誌、自然談話収集、インタビュー調査の3つの調査によって収集されたデータを、量的及び質的に分析し、学習者の様々な言語生活におけるバリエーション運用の実態を総合的に考察する。そして、その結果を研究発表及び論文執筆を通して発信していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していた日本語学習者に対する調査が十分に実施できなかったため、調査協力者に対する謝金、データの文字化及び日本語翻訳に対する人件費と謝金の支出がなかった。また、多くの学会がオンラインで開催されたため、旅費の支出もなかった。 2021年度の残額と2022年度の請求額の具体的な使用計画は以下の通りである。 1)留学生以外にも、宿泊業従業者、結婚移住女性、技能実習生、会社員(それぞれ25名前後)に対して、言語日誌の記録を依頼し、調査協力に対する謝金を支給する。2)自然談話収集を行うことができた調査協力者には、追加で謝金を支給する。3)収集された自然談話データの文字化作業に対する人件費、(日本語以外の発言が含まれている場合は、)日本語翻訳の作業に対する謝金を支給する。4)対面で開催される日本国内の研究会、学会及び国際大会がある場合、旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)