2023 Fiscal Year Annual Research Report
個人の学習文脈から捉える英語学習における動機づけの変化とそのプロセス
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20K13100
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
三ツ木 真実 小樽商科大学, 言語センター, 准教授 (80782458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英語学習の動機づけ / 個人の学習文脈 / 動機づけの変化のプロセス / エンゲージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度(最終年度)は、前年度から引き続き、「教室外英語学習(OCLL: Out-of-Class Language Learning)」の学習経験を「エンゲージメント」の観点(環境要因としての学習環境及び個人差要因としての動機づけ)から捉えることを試みた。とりわけ、質的アプローチによる微視的な分析を通じて、OCLLによる学習を自律的に開始・継続するに至ったプロセスを明らかにした。その結果、次のことが明らかとなった。研究参加者は過去(中高時代)の英語学習において、「英語の非実用性」や「英語使用に対する負の感情」といったネガティブな認識(英語学習に対する抵抗感)を有しており、英語学習に対するエンゲージメントが喚起されにくい学習環境にいた。しかし、大学入学後にその学習環境からの変化を求める出来事(英語以外の言語の学習やクラスメートの英語学習態度など)を通じて、英語学習に対する新しいポジティブな価値観の獲得や動機づけ信念としての理想L2自己を持つようになり、促進的マインドセットを発生させていた。そして、これこそが研究参加者がOCLL(言語アプリを使用した学習)にエンゲージするための強力な先行要因となっていたことが明らかとなった。本研究期間全体を通じては、個人の学習文脈における動機づけ変化のプロセスを捉えるための方法論を一つ確立できたことが成果である。また、それを動機づけの隣接分野であるエンゲージメント研究にも拡張して分析を実施することができたことも成果の一つである。今後の研究では、個々の学習者固有の学習経験を回顧的かつ微視的に分析するアプローチを継続しながらも、これまでの動機づけやエンゲージメントの研究における理論等を踏まえながら、学習者をより学習に関与させる先行要因は何であるかを明らかにする必要がある。
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