2023 Fiscal Year Research-status Report
Mother Tongue and Heritage Language Education for Children with Filipino Roots in Japan: Current Situation and Development of Teaching Materials
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20K13105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢元 貴美 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40830089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 母語・継承語 / 子ども / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度にはフィリピンにてフィールドワークを実施した。マニラ首都圏、パナイ島イロイロ市、パナイ島ドゥマガスの小中学校において、母語の授業や母語を教授言語としている授業を見学し、授業内容、教材、教授法、母語の用いられ方の実態を把握した。また、小中学校の担当教員や管理職、大学教員との情報交換をおこない、母語の授業に関する見解や子どもたちの言語状況について聞き取った。博物館や現地の公的施設等では母語や母文化の扱われ方を調査し、書店等にて現地語で書かれた資料やフィリピンに関する子ども向け書籍等を収集した。 タガログ語圏以外の地域では、家庭内や学校の授業において地方言語を用いることの重要性が認識されており、各地の言語使用やニーズに合わせて地方言語の教授や地方言語による教授が実践されていることや、国語であるフィリピン語の学習に困難を抱える子どもも多いことを把握した。タガログ語圏においても、子どもたちは英語に馴染んでいるものの、教員がフィリピン語を用いて説明することや、普段英語で表現しているような事柄をフィリピン語に言い換えることによって、より深く学習内容が理解できることも把握できた。日本におけるフィリピンにルーツを持つ子どもたちの母語・継承語教育においても、フィリピン語の学習やフィリピン語で考えることには意義があり、フィリピン語のみならず地方言語も重視することが望まれるということが明らかとなった。 フィリピン国内外で出版されている、子どものフィリピン語およびフィリピン諸語の学習用の文献資料の収集も引き続きおこなった。学習内容や題材を把握するとともに、フィリピン国内や海外で子どもたちに継承すべきと考えられているであろう言語や価値観を把握することができ、作成を予定している、日本で暮らすフィリピンにルーツを持つ子どもたち向けの教材にも参考になるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度と2021年度に計画していた調査が、新型コロナウイルス感染症拡大にともなう移動の自粛の必要や感染の懸念への配慮から延期せざるを得ず、研究計画を順次繰り下げた。当初の計画より遅れてはいるものの、研究実施計画に基づいて進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、日本国内において実施した、子どもと保護者を対象とした調査、および、フィリピンにて実施した、言語教育に関する調査の結果を分析し、母語・継承語教育の意義や課題を考察する。調査結果や文献資料に基づき、日本で暮らすフィリピンにルーツを持つ子どもたちを対象とした教材作成を進める。
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Causes of Carryover |
2023年度までに予定していた日本国内におけるインタビュー調査の一部、および、フィリピンにおける調査が、新型コロナウイルス感染症拡大のために延期を余儀なくされた。また、参加予定であった学会の一部がオンライン開催となった。そのため、旅費やデータ整理のための人件費などが未執行となり年度ごとに繰り越し金が生じた。2024年度に実施予定である研究成果の整理および発表のための経費に使用する予定である。
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