2023 Fiscal Year Annual Research Report
The influence of Japanese and instructions on developmental processes of subjects by Japanese learners of English
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20K13107
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
須田 孝司 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60390390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本人英語学習者 / 主語の獲得 / 主語と主題の区別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日本人英語学習者の英語の主語習得における日本語の影響について調査を行う。日本語と英語では主語の扱いが異なっており,英語では明示的な主語が必要とされるが,日本語では主語が明示される必要はない。本研究では,日本人の中学生と大学生を対象に2つの実験を行い,日本語と英語の主語の知識を検証し,日本語の語順,助詞,名詞句の有生性の影響について議論する。 (1)実験1(英語の主語) 英語では,主語の人称と数の情報が動詞に引き継がれ,動詞の形が変化する。そこで,実験1では,英語の主語の人称素性と数素性の習得について調査を行った。実験の結果,中学生は主語の人称素性と数素性の習得に困難があり,特に数素性は大学生になっても習得が難しいことがわかった。したがって,日本人英語学習者が英語の主語を適切に習得するにはある程度の時間が必要であると考えられる。 (2)実験2(日本語の主語) 実験2では,日本人の中学生と大学生を対象に,日本語の主語の判断における助詞「が」,語順,名詞句の有生性の影響について調査を行った。実験の結果,すべてのタイプの日本文で大学生の方が正しく主語を判断しており,中学生の段階でも日本語の主語の判断に困難があることがわかった。また中学生は,助詞の「は」「が」に関係なく,有生名詞が第一名詞句の場合に主語と判断する割合が高く,中学生は主語の判断に有生性の情報を利用し,有生性の情報が利用できない場合は語順で判断する傾向があることが明らかになった。さらに,日本語の主語を適切に判断できなかった中学生の英語の判断結果を分析すると,その両言語の判断に相関は見られず,日本語の主語の判断は英語の主語の知識に関係がないことを提案している。
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