2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本の公立小学校の英語授業における学級担任、ALT、児童のインタラクション分析
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20K13115
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
志野 文乃 東京学芸大学, 教育学部, 特任講師(Ⅰ種) (00822199)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「日本の公立小学校の教室内で、学級担任(HRT)、外国人指導助手(ALT)そして児童がどのように関わり合いながら英語を学び、教えているか」ということについて、実際の教室内での三者のインタラクションを会話分析的・教室談話分析的に分析し明らかにし、これを小学校英語教育の更なる充実に貢献させることである。 本研究の事前調査として、研究者は補助教員として2013年度まで地域の小学校で授業中の支援をしながら実地調査を行った。更に、2020年度からの英語正式教科化への移行期間であった2019年に、再び研究対象校を訪問し追加調査を行った。その後、新型コロナウィルスの影響で対象校への訪問に制限があり、2022年度は教育委員会へのインタビュー調査を行った。2023年度は、対象校に訪問し、授業観察および授業中のインタラクションの録音・分析を行った。 調査の結果、学級担任、ALT、そして児童の三者は、共通語としての英語(English as a lingua franca: ELF)を使用する状況下で、あらゆる言語的・非言語的資源を使い、互いの関係を良好に保ちつつ、英語学習に取り組んでいることが分かった。一方で、話し手が聞き手の第一言語を使用して相手の理解を促進したり相手の第一言語に適応しようと試みる中で言い間違えがあった場合に、話し手との良好な関係を保つため、聞き手は直接言い間違えを正すことなく相手の言葉をより適切な形に言い換えたり、時には沈黙を保つ場面も見られた。また、所謂英語圏出身のALTだけでなく、様々な国からALTを採用することで、英語学習者・使用者として様々なモデルを児童に示していることも分かった。 これらの調査をもとに、より効果的な教師教育に関する提案をし、日本の小学校英語教育に貢献したいと考えるため、国際学会にて合計2本の研究発表を行い、1本の学術論文を投稿した。
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