2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Practitioner Research Model in Foreign Language Education Based on Exploratory Practice
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20K13118
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
加藤 由崇 中部大学, 人間力創成総合教育センター, 講師 (80762666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 探究的実践 / 実践者研究 / 授業 / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、本研究の目的である、外国語教育における「探究的実践」に基づく実践者研究モデルの構築に向けて、以下の3点の研究を行った。 (1) 国内外の関連研究のレビューを行い、「真に包括的な実践者研究」の7原則が生まれた歴史的な経緯と哲学的・理論的背景の明確化を試みた。具体的には、ハンナ・アーレントやパウロ・フレイレらの哲学的な枠組みを援用することで、探究的実践の核となるパズル(puzzle)についての理論的考察を行った。同時に、その考察をまとめ、2021年度に投稿予定の共著論文の草稿を仕上げた。 (2) 探究的実践の先進的な事例を蓄積するためのウェブサイトの開発を進めた。その結果、探究的実践、アクション・リサーチ、リフレクティブ・プラクティスから成る、実践者研究の理論的枠組みや出版物等をまとめたウェブサイトを公開するに至った(https://www.fullyinclusivepr.com/)。また、実践者研究に関心を抱く世界の30余名の研究者が参加するメーリングリストの情報を更新するなど、研究ネットワークのさらなる構築に努めた。 (3) 新型コロナウイルスの影響によって遠隔授業へと移行した大学の英語授業の場においても、探究的実践を継続的に積み重ねることができた。その結果、パズルの発見・洗練化から調査・思考、成果の共有へという大きな枠での探究的実践モデルの機能性について手応えを得た。一方で、望ましいパズルや成果物、シラバス内での実施に伴う評価のあり方など、さらなる考察が必要な点も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していた研究は、おおむね計画通りに進めることができた。ただし、新型コロナウイルスの影響によって国際応用言語学会(AILA)が2021年度に延期となるなど、国内外での学会発表における研究成果の公開は見合わせた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度の成果をもとに、探究的実践に基づく実践者研究モデルの仮構築と継続的な修正を行う。具体的には、国内外での実践例を幅広く収集するとともに、大学の授業における実践を継続的に積み重ね、探究的実践におけるパズルや成果物、評価のあり方などを吟味する。学会発表の場や研究ネットワークを活かして国内外の研究者らと議論を重ね、モデルの洗練化を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、2020年度に参加を予定していた国内外の学会が延期になり、旅費の支出ができなかった。2021年度には延期された学会等への参加と発表を予定しているため、こちらの参加費に充てる。同様に、2020年度は予定していた研究補助員の雇用が困難となり、人件費の支出がなかったため、2021年度以降の研究補助員の雇用費用に充てる。
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