2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study Aiming to Reduce Disparities by the Commodification of Language Education: Through Fairness and Comparison between Languages
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20K13129
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
瀬尾 匡輝 茨城大学, 全学教育機構, 准教授 (20761026)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 言語教育の商品化 / 新自由主義 / 格差の是正 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルスの感染拡大により、本研究のフィールドであるベトナムで調査を行うことはできなかった。そのため、本研究の初年度である2020年度は、言語教育及び他領域における商品化の先行研究を概観し、その議論を整理することに重きを置いた。 新自由主義に基づく商品化についての議論では、「効率性」の追求が問題視されている。しかし、教育を経済学の視点から再考することを試みた小塩(2003)は、経済学においては効率性が追及されることと同様に、「人々の経済的な幸せや所得をめぐる格差がなるべく小さいことが望ましい」(p.14)という公平性の観点も重視されていると述べている。そして、効率性と公平性は「二律背反」の関係にあり、経済学においてはこれら両者の折り合いをどこでつけるかが重要なテーマになっているという。これまでの言語教育の商品化の議論では、効率性が追求されることの問題点は指摘されているものの、商品化の公平性への影響についての議論はあまり行われてこなかった。 また、これまでの新自由主義に基づく商品化についての議論では、言語の習得は人的資本の増大のためと捉えられ、知的価値を前提として議論が進められてきた。だが、言語を学ぶ動機や目的は、満足感や喜びを得るなどの情的な要素とも深く結びついており、言語の情的価値を無視することはできない。それゆえ、公平性を議論するにあたり、言語の「価値」に目を向け、満足度や充実感の格差という問題にも注目する必要があるだろう。 本研究では、これらの先行研究の議論をもとに、ベトナムで英語・中国語・韓国語・日本語を学ぶ学習者/教師/企業の人々が1)各言語にどのような知的・情的価値を見出しているのか、2)言語学習の結果どのような経済的及び心理的な価値が生み出され、そこにはどのような格差が生じているのかを明らかにすることを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、ベトナムをフィールドに調査を行うが、2020年度は、新型コロナウィルスの感染拡大により、現地に赴き調査を行うことができなかった。そのため、初年度に予定をしていたベトナムの英語・中国語・韓国語・日本語の学習者に対するインタビュー調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、ベトナムの英語・中国語・韓国語・日本語の学習者及び教師に対するインタビュー調査を実施する。また、方法として、オンラインでのインタビューの実施を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、初年度に予定をしていたベトナムでの調査が実施できなかった。ベトナムの英語・中国語・韓国語・日本語の学習者及び教師に対するインタビューデータの文字起こし及び翻訳のための経費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)