2020 Fiscal Year Research-status Report
John Hersey's Hiroshima Revisited: Formation of Atomic Bomb Narrative
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20K13161
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
繁沢 敦子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90779307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジョン・ハーシー / ヒロシマ / 検閲 / 原子爆弾 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、先行研究について国内で入手可能なものについて収集ならびに読解を行った。特にアメリカ人ジャーナリストのレスリー・ブルーム(Lesley M. M. Blume)がこの夏出版した『Fallout』については、内容と用いられた史料の分析を行った。その結果については、それ以前に収集していた史料に基づいて進めていた研究の結果と合わせて、2020年9月19日に開催された日本アメリカ史学会の自由論題部門において「ジョン・ハーシーの『ヒロシマ』ーー検閲をめぐる考察ーー」という題目で発表を行ったところである。 ブルームの著作は、ハーシーの『ヒロシマ』報道の足跡と影響をつぶさに追ったものである。原爆投下から三四半世紀という節目に合わせて発表され、その業績に新たな脚光を当てたということ、またこれまでになく広範な情報収集によってハーシーの活動を掘り下げたという点で評価できる。一方で、それ以前の多くの先行研究同様、情報を伝えようとしたジャーナリストと、それを封じようとした国家権力という単純化された対立構造を基軸に描かれており、本研究者の視点とは大きく異なる。また、史料の用い方や解釈には誤った点も見られる。 上述の構造においては、ジャーナリストは英雄視されがちである。しかし、そのことも本来検討すべき事柄から我々の注意を逸らせる一端を担ってきたのではあるまいか。本研究を行う動機である、その歴史的位置づけについて新たな視座を提供するという目的を達成するため、さらなる史料収集と読解を進め、建設的な議論の組み立てを探っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大の影響で、授業方法の変更を求められるなど学内業務の負担が予想より大きくなったため。また、同様の背景から、資料収集のための海外渡航ができなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
従来どおり、史料の収集ならびに分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大によって海外渡航ができなくなったため。
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Research Products
(1 results)