2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the structure of Lord System in early modern Japan : Focus on Koutaiyoriai
Project/Area Number |
20K13170
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
野本 禎司 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (50846467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近世領主制 / 交代寄合 / 那須衆 / 領主支配 / 家臣 / 在地代官 / 旗本 / 旧旗本領主顕彰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大名でも旗本でもないとされる交代寄合という武家領主を研究対象として、近世領主制の特質を追究することを目的とした。その際、領主・知行地双方の史料を活用して立体的に解明することを目指した。研究基盤となる史料調査は、予定していた福島県須賀川市での調査(交代寄合溝口家、旗本三枝家)を順調に進めた一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により遠方での調査を進めることができなかった。しかし、新たに栃木県那須(交代寄合芦野家)、茨城県(交代寄合本堂家)の調査に着手したことから、補助事業期間を延長し、2023年度を最終年度として取り組んだ。 本年度は、那須歴史探訪館にて芦野家家臣・山田家文書の撮影を進めるとともに、史料保存資材を支援して保存・調査推進の一端を担うことができた。また、同館学芸員と研究協力者の計4名による研究発表報告会を8月・3月と実施し、3月の報告会では周辺学芸員3名を加え、成果共有を図ることができた。これにより芦野家が属する那須衆他三家の史料情報をえたことで、那須衆として江戸幕府の中に位置づけられる芦野家の近世領主制の特質を追究することが具体的に可能となった。今後継続して調査・研究を進めたい。また、これまで比較対象として意識して検討を進めた同経済規模の旗本家や仙台藩家臣の領主制について、旗本の明治維新期の日記の調査(東京大学史料編纂所)及び「天保期における仙台藩片倉家の家政運営」としてその構造的特質に関する研究発表を行った(歴史資料学研究会第17回例会、2023年9月)。 研究期間を通じて、福島県須賀川市での調査・研究を中核として、その成果を文書目録のウェブ公開・展示・講座等を通じて社会に還元するとともに、口頭報告、研究論文などにより研究成果を発表することができた。
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