2023 Fiscal Year Research-status Report
A People's History of Japan - Japanese migrants' labour movements during the Meiji and Taisho periods
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20K13183
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
LEROUX Brendan 法政大学, 国際文化学部, 准教授 (80610203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 労働運動 / 移民 / 下からの歴史 / 民衆の日本史 / ミクロストリア |
Outline of Annual Research Achievements |
・研究協力者の援助により史料翻刻作業が進んだ外交資料館所蔵のグアドループ島における日本人移民の労働運動(ストライキ)に関する史料の分析をさらに進めることができた。ただし目標としていた「何らかの形でそれらの史料の分析成果を発表」することまでは未だに至っていない。引き続き今後の課題としたい。 ・2023年2月に『植民地化・脱植民地化の比較史ーフランス‐アルジェリアと日本‐朝鮮関係を中心にー』(小山田紀子、吉澤文寿、ウォ ルター・ブリュイエール=オステル編、藤原書店、544p)に掲載された「フランス植民地帝国の周辺ー裁判で見るグアドループ島における日本人労働運動ー」(p.90-111)という題名の論文を同書籍の仏語版刊行(2024年10月を目指している)のためのフランス語訳を依頼した。それに先立ち、論文の内容を読み直し、史実と異なる記述を修正し(史料を読み直したら解釈が誤っている箇所が1、2点見つかった)、新しい資料の内容(主に裁判に関わった弁護士に関する情報)を使って加筆し、論文をある程度改善した。 ・以前から本研究の核心をなすべきデータベース構築の理論上の準備を今年度も進めたが、実現に向けての技術者が見つからず、知人のすすめで自分でなんとか「Bubble」のノーコードアプリやエクセルファイルを利用して作業はしてみたがうまくいかず、次のステップへと進出できていない。改めて次年度の最重要課題と定めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年4月に法政大学に着任し、新しい環境や授業に慣れるのに思っていたのよりも時間と労力が必要で、自由に自分の研究に取り組むことがなかなかできなかった。 さらに、2023年2月に刊行された上記の書籍『植民地化・脱植民地化の比較史ーフランス‐アルジェリアと日本‐朝鮮関係を中心にー』(小山田紀子、吉澤文寿、ウォ ルター・ブリュイエール=オステル編藤原書店、544p)のフランス語翻訳責任者になったので、論文の翻訳作業自体や翻訳者間のコーディネートに非常に時間と労力が費やされている。 そのような状況で、本研究はかなり遅れていると認識せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に推進する予定の3点も進まなかった現実を受けて、2024年度は主に以下のことに集中し実施したいと考える。 1.仏領グアドループにおける日本人移民のデータベース構築を実現する。その作業を、元々本研究の主な目標であった明治・大正期における日本人移民が起こした労働運動に関するデータベース構築の第一ステップとして位置づけたい。本研究が終了した後でもそのデーターベースを補完していくことを念頭におきなが ら構築を考える。当然ながら、他の研究者が協働して相互的に使えるデータベース構築を目指す。 2.昨年度の繰り返しになるが、「下からの歴史」及び「ミクロストリア」の分析・記述方法に従い、仏領グアドループ島における日本人移民の労働運動に関する史料分析をさらに進め、研究発表や論文としてまとめる。「グアドループ史学会紀要」(Bulletin de la Societe d'Histoire de la Guadeloupe)への投稿を目指したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由として、新しい大学に着任してからなかなか本研究に取り組むことができず、特に以前から最重要な課題であるデータベース構築のための技術者の選定が困難であり未だにその作業に着手できていないことが挙げられる。 次年度使用額を主にデータベース構築に充当する予定である。技術者の見積もり次第ではあるが、予算残高の許す限りもう一度の資料調査も実現できたら本研究の発展につながると考えられる。 場合によっては、研究成果発表としての投稿費用等にも次年度使用額を充当することが考えられる。
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