2022 Fiscal Year Research-status Report
Agency for survival in the age of decline: The Shrine of Sheykh Safi al-Din in the 18th and 19th centuries
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20K13195
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
阿部 尚史 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20589626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サフィー=アッディーン廟 / アルダビール / タブリーズ / カージャール朝 / イラン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イラン北西部に位置するアルダビール市のシェイフ・サフィー=アッディーン廟が、18世紀初頭にサファヴィー朝崩壊後にいかに存続したかを考察することを目的としている。 残念ながら新型コロナウィルス感染症の影響で、イランにおける夏の調査は実施を見合わせ、さらに2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響で、サンクトペテルブルクにおける調査の目途が立たなくなり、書店などから欧米やイランの文献を取り寄せて研究を進めている。そうした事情もあり、2022年度はカージャール朝史全体との関係から調査を進めた。 まずカージャール朝の前期の権力体制を明らかにし、そこにアルダビールの統治体制がどのように位置づけられるか主にペルシア語年代記史料をもとに調査を進めた。アルダビールは、タブリーズを中心とするアゼルバイジャン州の下位に位置付けられ、地方行政官も直接中央政府から任命されるのではなくタブリーズ知事から任命されることが多いことが分かった。このアルダビール地方行政官は、廟の運営にも関与していた可能性が高く、19世紀に廟不動産目録が再編集された際にも関係していた。またアゼルバイジャン州知事は事実上の皇太子座であったことから、そこからアルダビールに派遣される知事も王家本流との関係が深く、廟の運営が王朝中枢と関係した可能性が窺える。こうした廟の位置づけが王朝組織制度にどのように関係していたのかより考察を深める必要性もわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響が依然大きく、海外調査ができなかったため。またロシアのウクライナ侵攻によりロシア調査の目途が立たないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、海外調査を実施し、イランなどで史料調査・収集、実地調査を行う予定である。ただし、研究期間中のロシア調査が難しい可能性が高く、代替の調査を考える必要がある。研究期間の延長も視野に入れつつ、資料収集と分析を行い、今後の研究活動を着実に進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の関係で、海外調査ができなかったため。 昨年度実施できなかった海外での史料調査等を実施する。また、文献収集によって代替できる部分も模索して、可能な範囲で国内外の刊行物や一次史料の取り寄せなどを行い、課題研究を遂行する。
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