2021 Fiscal Year Research-status Report
日本統治最末期、台湾先住民の島内軍事動員 ーー『留守名簿』を手掛かりとしてーー
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20K13202
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
小野 純子 金城学院大学, 文学部, 講師 (20847610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本統治期台湾 / 軍事動員 / 先住民 / 特設警備部隊 / 大戦末期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1945年に台湾で結成された在台日本軍(台湾軍のちの第10方面軍)、高砂特設警備部隊に焦点をあて、日本軍の先住民動員の実態を解明するものである。 本研究では、特定歴史公文書である『留守名簿』が大きな鍵となる。これまでの調査で『留守名簿』から高砂族が集中的に動員されている部隊を複数見つけており、それらの整理・電子化を進めた。(『留守名簿』は、公開されているが、原本のみでネット閲覧は不可である。まずは、分析のために整理と電子化の必要があった。) 2021年度は発掘した5部隊のうち1部隊(特設警備第514大隊)の分析を終了させた。(2020年度に1部隊(特設警備部隊第513大隊)は分析が終了している。) 第514大隊の分析結果は、「日本統治末期、台湾先住民の島内軍事動員―特設警備第 514 大隊の分析」として、日本台湾学会第23回学術大会で報告し、『金城学院大学論集』に提出した。 フィールドワークにおいては、コロナウィルスの流行により制限があったが、3月に東京で文献調査を行った。調査では、国立公文書館本館、防衛省防衛研究所閲覧室を訪れ、『留守名簿』と陸軍軍事史料を中心に閲覧した。また大阪大学東京オフィスで他大の研究者らと討論を行った。そこでは、新たな知見を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的なコロナウィルスの流行により、国外だけではなく国内(感染拡大地域)への出張にが難しい状況にある。そのため、予定をしていた台湾でのフィールドワークは進めることができなかった。また、台湾への渡航ができなかったため、資料の収集等も制限された。本課題においては、コロナウィルスの影響は大きく、進捗状況に影響があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も国内外問わず調査の進行は困難であると考えられる。 まずは、すでに公開され、収集が終わっている『留守名簿』の整理、電子化を急ぐ。また、国内(北海道、福岡、沖縄など)での調査は、国内の状況が落ち着き次第再開させる予定である。 台湾での調査などは、2023年以降に延期し、2022年度は引き続き国内での調査に重点を置く。
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Causes of Carryover |
出張が制限されたため未使用額が生じた。次年度以降の調査にその経費を充てることにしたい。
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