2022 Fiscal Year Research-status Report
Multidisciplinary study on the formation of Japanese intellectuals' perceptions of China: Focus on the activities of "Chugoku Bungaku Kenkyukai" after the second World War
Project/Area Number |
20K13208
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
朱 琳 仙台高等専門学校, 総合工学科, 助教 (50815925)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岡崎俊夫 / 戦後知識人の民衆観 / 中国近代文学の受容 / 丁玲 / 趙樹理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には主に岡崎俊夫の活動を中心に資料調査を実施した。具体的に言えば、以下の通りである。 ① 岡崎俊夫に関する先行研究の調査:従来、岡崎俊夫は中国近代文学の紹介者として認識され、その近くに活動していた竹内好と武田泰淳ほど世間に知られておらず、資料調査を通して、岡崎に関する先行研究は非常に少なく、視点も限られていることが分かった。しかし、岡崎は中国近代文学、特に戦後の1950年代の中国文学の翻訳者として活躍していたため、戦後の中国認識の形成にとって、その影響力は無視できないと考えられる。 ② 岡崎俊夫著作集に未収録文に関する資料調査:国立国会図書館での資料調査を通して、著作集『天上人間』に収録されていなかった論文・批評を42点を入手し、岡崎俊夫の中国近代文学に対する見方、原作を選択する理由などを示す資料を網羅的に集めることができた。これによって、岡崎俊夫の中国観を考察することが可能となった。 ③ 丁玲、趙樹理などの中国文学者に関する資料調査:岡崎俊夫は力を入れて紹介した丁玲と趙樹理に関して、日本で発表された丁玲と趙樹理の文学作品を収集した。また、この二人に限らず、1950年代~1970年に発表された中国現代文学(特に人民文学)に関する書評、評論などを調べ、日本知識人が同時代の中国文学に注目した一因を示す資料を集めた。これによって、岡崎俊夫の活動をある程度客観的に評価できると考えられる。 この通り、2022年度の研究活動は主に資料の収集と分析を中心に行われたため、今はこれらの資料を生かして、論文化している。その成果を2023年度に発表すると計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に資料調査を中心に活動したが、論文の執筆は実現できなかった。 2023年度に資料調査の成果を示す論文を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定としては、2022年度の研究課題は実藤恵秀であったが、新型コロナウイルス予防対策による入館制限と臨時休館によって計画通りに実施できなかった。 2023年度に実藤恵秀を研究対象として取り上げたい。中国語改革と日本の国語問題に対する評論を収集し、言語問題の視点から戦後日本知識人の中国認識にアプローチしたい。
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Causes of Carryover |
入館制限と臨時休館によって、予定されていた東京都立図書館での資料調査は実施できなかったため、旅費が浮いてしまった。 2023年度に、現地調査に加えて、古書の購入によって資料収集を実行し、さらに今までの研究成果を学会で研究発表を行う予定である。
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