2023 Fiscal Year Research-status Report
Nation-building and the Partitioned Commonwealth in the Late Nineteenth Century
Project/Area Number |
20K13210
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナショナリズム / ポーランド / 一月蜂起 / リトアニア / ベラルーシ / ロシア帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロシア帝国支配下の旧ポーランド=リトアニア共和国領における、諸民族のナショナリズムの形成・展開ならびにその相互関係を、19世紀後半のポーランド貴族による対ロシア一月蜂起とその記憶を手掛かりに明らかにしようとする。 今年度も昨年度に引き続き、一月蜂起の記憶をポーランドとロシアを比較しながら検討した。双方の社会における一月蜂起とその敗北(あるいは鎮圧)の記憶と、蜂起を苛烈に鎮圧したヴィリナ総督M・ムラヴィヨフに関する記憶、特に彼の記念碑建設の運動について、19世紀後半当時のナショナリズムや王朝統治のシンボル化として行われる記念碑ブームに位置づけながら考察した。特に、ロシア支配に対する「踏み絵」ともなるムラヴィヨフ記念碑への態度を、ロシア支配との妥協を見出そうとした保守派ポーランド貴族を中心に検討し、西洋史学会において口頭発表を行った。 また、1830-31年の十一月蜂起時の政治改革議論や同蜂起の記憶と、一月蜂起時の社会改革の議論とその後の影響を比較、整理した。 これまで新型コロナと戦争の影響を受けて渡航がなかなかかなわなかったが、今年度は本研究中初めて、国外(ポーランド、リトアニア)で資料調査を行うことができた。手稿史料のほか、一月蜂起に関する後世の絵画や図版、記念物などの図像学的な資料に関してもある程度調査をし、ロシア統治下での一月蜂起のイメージの流布について検討を加えている。 ただ、引き続き、ロシアとベラルーシ等への渡航が制限されているため、当初計画から方針を変更して、国内あるいはオンラインで入手可能なデジタル資料や購入可能な資料の活用に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、かねてから予定していた、ポーランドとリトアニアへの資料調査をようやく行うことができた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の全面化に伴うロシアやベラルーシへの渡航制限が続き、計画していた両国への資料収集等は引き続き実施できなかった。 海外出張に関する制限のため、考察・検討するテーマを当初の予定から変更して対応したことで、ポーランドやリトアニアにとどまらず、ロシア帝国を含めた複数のネイション形成が相互に関連しながら展開することを指摘できたが、一方で新しい分野に関する予備知識も必要であり、研究の遂行には予想以上に時間がかかっている。 これらを鑑みた結果、研究全体として「やや遅れている」と判断する
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を一年延長し、ポーランドやリトアニアでの資料収集と、その読解ならびに分析を引き続き行うこととする。ロシアやベラルーシの資料については、オンラインで入手可能なものや他国の図書館・文書館で保管されている資料の検索・利用を引き続き進めることとする。
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Causes of Carryover |
今年度、ロシアによるウクライナ侵攻の全面化に伴って、予定していた資料収集の一部が行えず、また計画の進行もやや遅れているため、次年度への延長と繰り越しが生じた。
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Research Products
(3 results)