2020 Fiscal Year Research-status Report
1980年代アメリカにおける「イスラエル例外主義」の形成・変容に関する歴史的考察
Project/Area Number |
20K13212
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 雅哉 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (30816319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1980年代アメリカ / 保守革命 / 社会運動 / イスラエル / パレスチナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアメリカ合衆国の政治文化に敷衍する「イスラエル例外主義」の形成・変容過程を、1980年代~1990年代初頭のアメリカ社会運動の展開に着目して考察するものである。アメリカ―イスラエル間の良好な関係は、その存在が自明視される傾向にある。しかし、近年、その両国関係を下支えするアメリカ政治文化の歴史的な構築過程とイスラエル例外主義の枠外にある思想や実践の展開に対する注目が高まっている。 この状況を踏まえ、本研究はアメリカ社会運動の展開を、1)国際社会との接触、2)国際的資源の流入・伝播、3)アメリカ社会との衝突という3つの局面を検証することを通じて、イスラエル例外主義によって特徴付けられるアメリカ政治文化の形成・変容過程を再考している。あわせて、1980年代アメリカで進展した「保守革命」の展開に留意し、中東問題に関連する社会運動の展開がアメリカ社会でいかなる意味で「脅威」と認識されたかを考察している。 本プロジェクト初年度に当たる2020年度には、以上の研究課題を進める基礎作業を進めた。まず、1980年代アメリカの「保守革命」に関する既存の研究成果を渉猟し、現在の到達点を改めて確認した。また、当該時期の合衆国と国連をはじめとする国際機関との関係に関する先行研究の整理を進めた。さらに、国内で入手可能な一次資料の収集に努めた。このような基礎作業を進めるのと同時に、研究成果の一部を「戦略としての人道主義――占領下パレスチナの人権運動」と題した研究論文として『歴史評論』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大による渡航制限のため、当初予定してたアメリカ合衆国での調査が事実上不可能となってしまった。そのため、予定していた研究活動を延期せざるえない状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査を現在延期している。渡航制限が解除され次第海外調査を再開し、当初の計画を実行できるよう努める。海外調査が再開できない可能性も視野にいれ、代替的な研究方法も模索する。特に、インターネットアーカイブのより積極的な利用を考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、予定していた海外調査を実施することができなかった。2021年度にあらためて海外調査を実施する予定である。また、研究の国際発信力強化を目的に、英文校正に一部をあてることを計画している。
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Research Products
(1 results)