2023 Fiscal Year Annual Research Report
Transnational history of humanitarianism: the international Red Cross movement during the interwar period
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20K13224
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
舘 葉月 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50803102)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 赤十字国際委員会 / 赤十字運動 / 第一次世界大戦 / 国際人道法 / 感情史 / アンリ・デュナン / ギュスタヴ・モワニエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、両大戦間期の国際赤十字運動の進展と国際人道法が整備される過程を検証し、「人道主義」が国際社会における主要な規範となり、それに基づく様々な活動が活発化する過程と、その限界・阻害要因を明らかにすることである。①「人道主義」概念の整理、②国際赤十字運動の組織化と国際法締結準備のプロセス、 ③人道問題をめぐる感情の動員と制御の分析を、目的達成のための具体的な課題として設定している。 本年度に関して、2020年度から2022年度までできなかったヨーロッパでの資料調査およびフィールドワークを実施することができた。8月の4週間の滞在では、フランス国立図書館において①にかかわる研究書や同時代出版物を網羅的に閲覧するとともに、近年開館ないし改装したベルギーおよびジュネーヴの複数博物館で、歴史上の人道的危機がどのように展示されているかを見学した。2月の2週間のパリとジュネーヴの滞在では、②にかかわるジュネーヴ国際開発高等研究院文書館所蔵の国際法学会文書を閲覧するとともに、国際関係史・人道主義を専門とする複数の研究者と意見交換することができた。③と関連して、文学研究者主体のシンポジウム「感情とリアリズム―文学と歴史学の対話」に登壇し、アンリ・デュナンの著作『ソルフェリーノの思い出』がもたらした反響について領域横断的に論じる場を得た。年度を通じて、本研究に関連するテーマで、2回の口頭報告、2本の分担執筆、1本の書評を公開した。 研究期間全体をつうじて、①②③それぞれの課題を進め、毎年継続して研究成果を発表することができた。しかしながら、在外調査の実施が遅れたため、2023年度の調査を反映させた、とりわけ②にかかわる研究成果は現在執筆中である。また、①②③を総括しつつ、国際赤十字運動の進展と国際人道法の整備の過程を連関的に論じる研究書を執筆することが今後の課題となる。
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