2020 Fiscal Year Research-status Report
The Case of Seito Saibara and Japanese Migration to the American South in the Early Twentieth Century
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20K13225
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山中 美潮 同志社大学, アメリカ研究所, 助教 (70844091)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ南部史 / 日系移民史 / 稲作 / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀初頭にアメリカ合衆国テキサス州に移住した西原清東の稲作運動をケーススタディとして、トランスナショナルなアメリカ南部史を描くことを目指す。現在まで南部史では太平洋からの移民への関心が低く、また日系移民史も東南部への焦点を当てたものは少ない。そこで本研究は日本人移民のアメリカ南部人種社会の理解や稲作の南部経済への影響を通じて、環太平洋研究をアメリカ南部史に応用し、単なる地域研究を超えた越境的な歴史像を提示したいと考えている。 2020年度は、国内における西原の経歴や、西原がテキサスから日本へ送った原稿、記事などを重点的に調査した。具体的には同志社大学社史史料センター及び国会図書館での雑誌・新聞記事調査と、高知県立図書館や土佐市立市民図書館における史料収集を行った。またオンライン公開されているテキサス・ルイジアナ州の新聞を調査し、現地社会の日本人に対する反応を明らかにした。調査からは、西原をはじめとする日本人稲作移民がメキシコ湾岸を機械を使った大規模稲作の中心地と理解していたこと、またアメリカの技術を積極的に取り入れていたことがわかった。同時に、西原の残した史料からは、現地社会の人種制度に関しては疑問を呈することなく、地域のルールに順応しようとしていたことが判明した。また日本人の移住に関しては、メキシコ湾岸部でも地域によって反応が異なっていた。今後はその理由と考えられる社会、政治、経済的背景を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の本年の目的は、先行研究を整理し日本各地での現地調査を行うことであった。新型コロナウイルス感染症のため移動に若干の制限は発生したものの、国内調査ではおおむね目的を達成することができた。以上の理由から進捗状況区分の(2)おおむね順調に進展しているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが、アメリカでの現地調査を行いたいと考えている。またこれまでの調査をまとめた投稿論文を発表したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により国内移動に制限があったため、若干旅費に余りが発生した。本年度は状況が改善すれば挽回のため現地調査を行いたい。もし移動に引き続き制限が発生すれば、史料館で複写郵送を依頼するなどして対処できるか検討したい。
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