2023 Fiscal Year Research-status Report
江戸時代は本当に太平の世か?-海防遺跡からみた幕府海防政策の実態-
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20K13243
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡寺 良 立命館大学, 文学部, 准教授 (70543693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海防施設 / 遠見番所 / 烽火台 / 台場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、昨年度に引き続き西九州地方(長崎県)の海防遺跡の現地調査を中心に進めていった。その結果、長崎県佐世保市の世知原烽火台、錐崎烽火台、長崎県小値賀町の番岳遠見番所の伝狼煙台などの調査(現地調査、三次元データ作成調査など)を進めることができ、さらなる新たな近世海防施設のデータを蓄積することができた。 一方で、江戸時代の日本全国を国ごとに描いた天保国絵図(国立公文書館所蔵)に描かれた遠見番所など海防施設の全国的な所在調査も行い、日本列島規模で当時、海防施設が建設されていたことがわかりつつある状況を確認することができたものの、その調査は完了させることはできず、2024年度に持ち越すこととなっている。確認できたものについては、その所在のだいたいの特定を行い、一覧リスト化を進めているところである。 また、2023年度以前に調査を実施していた熊本県天草地方・長崎県島原地方の烽火台・遠見番所の調査成果について、成果がまとまっていたものの、未公表であったため、論文の形でまとめ、『立命館文學』第686号に発表することもできている。 このように、今回の研究における現地調査の大半は終了したものの、絵図からの列島規模の把握の調査や、それらの成果を取りまとめた報告作成は、作成途上である。 よって、残りの現地調査、絵図からの調査と報告書刊行は、本事業の最終年度と考えている2024年度に行う予定である。報告書の刊行により、近世日本における海防の実態を知るうえでは、非常に重要な資料を提供することになるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年4月より転職したこともあり、本務に忙殺されることが多かったため、科研費研究に割く時間を捻出することが難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査はほぼ終えており、後は関連調査として北海道方面の調査を残すのみとなっており、2024年度の大半は調査報告の作成に費やす予定である。
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Causes of Carryover |
本務との兼ね合いから研究が思うように時間を取ることができなかったため、調査や報告書作成を完全に実行することができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。 次年度は、今年度やるべきであった調査と報告書作成を実施することで事業を完了する予定である。
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Research Products
(1 results)