2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13244
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
武山 美麗 山形大学, 理学部, 技術専門職員 (80822668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加速器質量分析 / 放射性炭素 / 年代測定 / 炭素同位体比 / 窒素同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生及び死亡年代が判明している現代のヒトの骨と歯の試料に対して、加速器質量分析(AMS)と元素分析型同位体比質量分析(EA-IRMS)を行い、得られた放射性炭素年代と食性モデルの依存性を調べることで、より確度の高い年代測定法の研究を行うことを目的として研究を開始した。 今年度はヒトの骨試料の年代測定を行った。 骨試料は表面をサンドブラストで研磨し、汚染部分を物理的に除去した。研磨後の試料は、純水・アセトンを用いて超音波洗浄を行い、凍結乾燥した。乾燥後の試料を冷蔵庫内(4℃)で水酸化ナトリウム(0.2~1 mol/l)に一晩浸して、フミン酸など土壌由来の有機物を除去し、純水を加えて中和した後、凍結乾燥した。乳鉢を用いて乾燥した試料を粉砕し、セルロースチューブの中に入れ、塩酸(1 mol/l)中でマグネティックスターラーを用いて攪拌しながら透析した。透析は冷蔵庫内(4℃)で12 時間行った。透析後の試料は、純水を加えて中和した。チューブ内の溶液を粉砕試料とともに遠沈管に移し3600rpm で15 分遠心分離を行った。遠心分離後の沈殿物に純水を加え90℃で10 時間加熱し、ガラスフィルターを用いて吸引ろ過し、ゼラチン化したコラーゲンを抽出した。ゼラチン化したコラーゲンを2 日間凍結乾燥し、分析用のコラーゲン試料を得た。 各試料は元素分析計でガス化し、発生したガスの中から二酸化炭素を抽出した。この二酸化炭素をガラス真空ラインに移動させ、ここでグラファイトを作成した。グラファイトは測定用のカソードに詰め、山形大学の高感度加速器質量分析装置を用いて放射性炭素年代測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの骨と歯の試料の比較のために、昨年度は歯の年代測定を行った。下顎第一小臼歯のエナメル質及び歯冠部全体を測定した結果、検体の生年に歯の形成期間を足した予想値に良い一致を示した。今年度は骨のコラーゲンを抽出し、年代測定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに同一個体から採取された骨と歯の年代測定を行った。一部の試料について、出生年代は分かったが、確実な死亡年代が分からなかったため、調査を行っている。来年度はこれまでに得られた結果を分析し、試料数が不足する場合は追加で年代測定を行う。
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Causes of Carryover |
オーストラリアのシドニーで開催予定だった国際会議(AMS-15)及び青山学院大学相模原キャンパスで開催された応用物理学会春季学術講演会に参加するため旅費を計上したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となり、未使用額が生じた。 次年度の国際会議は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催地が変更され、また延期されていた他の学会と合同で開催されるため期間が延長される予定なので、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(2 results)