2021 Fiscal Year Research-status Report
沖積低地内陸域の堆積様式の解明と流域での土砂生産の定量的検討
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20K13260
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
羽佐田 紘大 法政大学, 文学部, 助教 (80804088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自然地理学 / 地形学 / 地理情報システム(GIS) |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、約7,000年前の高海水準期(縄文海進時)に沈水しなかった矢作川低地内陸域における完新世の堆積様式を数百年スケールで明らかにするため、東海道新幹線以北の氾濫原2地点における機械ボーリングによるオールコア堆積物の採取とその解析・分析を行った。地権者にボーリング調査の許可をいただいた上で、専門業者に依頼して機械ボーリングを実施した。ボーリング調査の際、掘削地点の標高を把握するため、オートレベルを用いた水準測量を行った。掘削長および掘削地点標高は、それぞれ26 m、13.5 m(1地点目)、21 m、11.3 m(2地点目)であり、両地点ともに沖積層基底礫層にまで達している。採取したオールコア堆積物について、岩相記載、年代試料(木片など)および各種分析用試料の採取、湿潤・乾燥かさ密度測定、色調測定を行った。その結果、堆積物中に生痕が認められたことから、両地点とも一時的に沈水していた可能性が見出された。これを踏まえて、今年度は、泥分含有量の秤量による泥分含有率の算出、電気伝導度の測定、専門の研究機関への放射性炭素年代測定の依頼を行い、それらを含むオールコア堆積物の解析・分析結果に基づいて、堆積様式を数百年スケールで解明することを試みる予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響によって、所属機関の設備を定期的に利用することが困難であったため、予定通りに分析・解析を行うことができなかった。今後は、今年度実施できなかった課題に取り組んだ上で、本研究で得られたデータおよび既存データを用いて、沖積層の3次元構造を復元することによって低地での堆積土砂量をとらえ、後背地である矢作川流域での土砂生産量の時間的変化を推定していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルスの影響により、研究計画通りに研究を進めることができなかった。ただし、すでに試料が得られており、大幅な遅れには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、オールコア堆積物の解析・分析結果を基に、矢作川低地内陸域における堆積様式を数百年スケールで明らかにする。さらに、本研究および既存のデータを用いた地理情報システム(GIS)による空間解析に基づいて、低地での堆積土砂量を見積もり、矢作川流域での土砂生産量の時間的変化を評価する。
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Causes of Carryover |
年代試料について、年度内に専門の研究機関への放射性炭素年代測定の依頼を行わなかったため、次年度使用額が生じた。この分については、当初の研究計画通り、放射性炭素年代測定の費用に充て、次年度中に使用する予定である。
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