2021 Fiscal Year Research-status Report
多様なデータから多様な効果を推定するための空間回帰モデリング
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20K13261
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
村上 大輔 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (20738249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間統計 / 加法モデル / カウントデータ / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き大規模な時空間データを計算効率よくモデル化する方法を検討した。本年度はカウントデータを対象とした検討を進めた。それによりポアソン回帰の新たな線形近似手法を開発した。同手法の近似誤差が極めて小さいこと、ならびに同手法を用いることでポアソン回帰の識別問題(ゼロ値が多い場合に推定がうまくいかない)が解消できることを、既存手法とのシミュレーション比較により明らかとした。なお、同近似手法の精度が、負の二項回帰やゼロ過剰ポアソン回帰といったポアソン回帰の拡張手法をも上回ることを確認している。次に、開発した近似手法を一般化加法モデルの推定に応用することで、加法モデルの推定に必要だったdouble-loopを、精度を落とさずにsingle-loopに置き換えることができ、大きく計算効率が改善できた。結果として、大規模な時空間カウントデータを計算効率よくモデル化する方法を確立した。次に、同手法を、前年に開発したデータ分布の自動推定法と組み合わせた。それにより、幅広いカウントデータを高速・高精度にモデル化することを可能とした。以上で開発した同手法はRパッケージspmoranに実装した。さらに、本年度に開発した手法を、COVID-19の要因分析に応用した。それにより、ワクチン接種率の増加が陽性者の増加に寄与している可能性や、世代によって感染パターンが異なる可能性などの、重要な知見を得た。なお同手法は犯罪の要因分析にも応用しており、同じく犯罪予測に役立つ知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
手法開発から実データの応用、ソフトウェアパッケージへの実装までを計画通り行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模な時空間データのための回帰モデルの開発が主眼であった。これまでは計算効率を高めることに焦点をあてて研究を進めてきたが、モデルの精度をやや軽視してきている面があるため、今後は計算効率は維持しながらできる限りモデルの精度を高めていきたい。
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Research Products
(9 results)