2022 Fiscal Year Research-status Report
大都市圏インナーエリアにおける持家のアフォーダビリティに関する研究
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20K13268
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
熊野 貴文 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60865848)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持家 / アフォーダビリティ / 近居 / 東京 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は近年の都市住宅市場における戸建分譲住宅の位置づけを整理する作業を行った。低金利政策の下で、東京都市圏を中心に新築の分譲マンションが高騰している。そのため中古マンションの需要が増大し、同様に価格が上昇している。さらに、マンションの場合、価格高騰に伴い一戸当たり延べ床面積も減少傾向にあり、核家族世帯向けの供給は少なくなっている。一方、戸建分譲住宅は建築費の高騰による販売価格の上昇がみられるものの、マンションに比べて価格上昇は緩やかである。さらに、小規模な敷地に高容積の住宅を建てることで床面積の広さを確保している。 また、住宅金融については、企業の資金需要が縮小する中で金融機関は安定した利益をもたらす住宅ローンの貸し出しに積極的になっている。低金利政策の下で住宅ローンが借りやすくなったことで個人向け住宅ローンの貸出残高は増加している。特に、ここ20年において若年層で負債が大きく増加している。これは比較的低収入の世帯にも持家取得が拡大していることと対応している。 さらに、本年度では東京都内で戸建分譲住宅の開発にかかる土地利用調査のほか、現地での聞き取り調査を行った。その際に、セクターによる社会経済的な居住分化を踏まえて対象地域を選定した。特に木造住宅密集地域を抱える区に対しては防災対策とミニ開発との関連についてインタビューをおこなった。例えば、荒川区は区内全域を対象に宅地の最低敷地面積を60平米に変更し、行き過ぎたミニ開発を防止している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点で各種統計を基に都市住宅市場の動向を整理し、特に戸建分譲住宅の位置づけを明確化した。一方で、現地調査の中で協力体制を構築している。戸建住宅取得世帯の居住地選択を明らかにするための個人を対象にしたアンケート調査の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、引き続き現地調査をさらに進めていく予定である。インタビュー調査とともに、個人を対象にしたアンケート調査を企図している。 第二に、国内外の議論を積極的に摂取して、本研究の位置づけを明確にする作業を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、インタビュー調査および個人を対象にしたアンケート調査が遅れたためである。本来であれば、インフォーマントへの謝金や音声データの文字データ化の費用が発生する予定であったが、その分が翌年度に繰り越しとなった。次年度の使用計画としては、上記の費用の支出のほか、先行研究の整理で必要となる海外の書籍・文献を購入する予定である。
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