2020 Fiscal Year Research-status Report
農村地域における情報通信技術の利用と創造的活動に関する研究
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20K13270
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐竹 泰和 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (50834008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創造的活動 / 住民参加 / サテライトオフィス / 中山間地域 / 島根県 / 高知県 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で取り上げる創造的活動には,地域条件や地域のかかえる問題によって様々な形態があると予想される。本研究の初年度である令和2年度は,比較事例として条件の異なる地域を選定することを目的に,創造的な取り組みを行っている自治体を資料等で把握する基礎調査を行った。このうち,住民参加によるまちづくり活動が広く知られている島根県雲南市を事例研究の候補地として選び,地域自主組織の活動について調査を行った。市役所および交流センターへのヒアリング,市立図書館での資料収集を行った結果,地区のかかえる条件や問題に応じて創造的な取り組みやその意欲が大きく異なることが明らかになった。また,住民のICT利用について,市のアンケート調査の集計値をもとに分析した結果,住民のインターネット利用率は平成26年度の55.1%から令和元年度の72.0%に向上したことがわかった。さらに,新たな動きとして,Covid-19への対応からこれまで対面で行われていた意見交換会にオンラインが導入されるなどICTの普及にともなってコミュニケーションのあり方に変化がみられた。 雲南市の事例は住民主体による活動として位置づけることができるが,これに加えて域外の創造的人材が主体となる活動の事例として,高知県の中山間地に位置するサテライトオフィスの取り組みと地域への影響を調査した。その結果,地域の資源を活かした「映像村」構想や神山町に続くICT産業の集積を志向するなど創造的活動を通じて新たな拠点を構築しようとする動きがみられた。ただし,こうした域外人材による活動は高知市近郊の中山間地に限られていた。本成果については経済地理学会西南支部例会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の拡大防止のため,広域の移動や対面調査に制約があったことから計画通りに現地調査を実施できなかった。計画では事例比較を行うために複数の調査候補地で現地調査を行う予定であったが,自県外で実際に現地調査を行うことができたのは1地域にとどまり,また,その現地調査は資料収集が中心となりヒアリング調査を十分に行うことができなかった。以上のように,研究事例地域の候補地を計画通りに検討できていないことが,進捗がやや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,住民の創造的活動とICT(情報通信技術)利用との関係を明らかにすることを目的としている。今後は,比較事例の選定をしつつ,住民のICT利用の実態を明らかにしていく。具体的には,引き続き雲南市の調査を進めるとともに,比較事例候補地の調査を進めて早急に事例地域を選定する。COVID-19が調査に影響せず,年度前半にフィールドワークを実施することができた場合,年度後半に住民に対してICT利用と創造的活動に関するアンケート調査を実施する。また,COVID-19の拡大による研究活動の制約への対応として,初年度の実績を踏まえて,調査の制約を受けにくい自県内で研究事例地域を選定し,上記と並行して創造的人材と住民との関係,住民の創造的活動に関する調査を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の拡大防止のためフィールドワークを実施できず,当初予定していた調査ができなかった。しかし,研究計画に沿って本研究を遂行するためには,初年度に予定していたフィールドワークを次年度に行う必要があるため,次年度使用額が生じた。したがって,その調査にかかる費用として使用する。
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Research Products
(1 results)