2022 Fiscal Year Research-status Report
国際観光客増加にともなう都市の変容 ーツーリズムジェントリフィケーションー
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20K13274
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
池田 千恵子 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (50825560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ツーリズム・ジェントリフィケーション / 居場所の立退き / 住宅の立退き / 商業の立退き / 宮古島市 / 下地島 / まちやど / 仏生山温泉 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き、ツーリズムジェントリフィケーションの研究と共に持続可能な観光について、次の対象地において研究調査を実施した。 宮古島市では、伊良部大橋の開通、みやこ下地島空港の開業により、観光客数が大幅に増加し、観光客数の増加に伴い宿泊施設が増加した。特に顕著だったのが、伊良部島の海岸線沿いに建てられた富裕層向けのヴィラタイプの宿泊施設や平良港周辺の外資系ホテルの進出である。宿泊施設などの建設ラッシュによる作業員や宿泊施設関連の従業員の増加により、賃貸物件の価格が高騰し、宮古島市の中心市街地の路線価が上昇していた。こうした宿泊需要の高まりにより、地域住民の居住地からの「住宅の立退き」やビーチや信仰の場からの「居場所の立退き」が生じていた。このように宮古島市においては、観光開発に伴うツーリズムジェントリフィケーションの発現を明らかにした。観光開発は、第一次産業が衰退する中、雇用を生み出し、地域に経済的な効果が得られるとされている。確かに、建設関連ならびに観光関連の仕事は増加しているが、賃金は沖縄水準のままで、賃貸価格の上昇や観光客向けの商業施設の増加により、地域住民の生活を脅かす側面もある。 2022年度の後半には、沖縄本土の北谷において沖縄米軍跡地として活用していた商業施設の観光需要に伴う変容に関して調査した。北谷においては、宿泊施設の増加に伴い外部資本が流入し、商業施設が観光客向けのものに変容する「商業の立退き」が生じていた。北谷に関しては、2023年度も引き続き調査を行う予定である。 持続可能な観光施策に関しては、香川県高松市仏生山町のまちぐるみ旅館を対象に、「まちやど」の観点で検証を行い、「まちやど」が形成されるプロセス、「まちやど」が地域に及ぼす影響を調査した。その結果、新規事業者による出店や新規事業者の連携による地域づくりのプロセスなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文に関しては、都市地理学17号に「兵庫県城崎温泉における観光需要の高まりによる地域の変容」、日本都市学会年報55号に「歴史的建造物の再利用による地域の再生-アルベルゴ・ディフーゾに認定された岡山県矢掛町を事例として-」、地理月報568号に「ひがし茶屋街における景観保全と地域の変容」の3本が掲載された。 学会などの発表は、沖縄県宮古島市の研究に関しては、人文地理学会大会(2022年11月開催)で「リゾート開発に伴うツーリズムジェントリフィケーション―沖縄県宮古島市を事例として―」のタイトルで発表し、地域デザイン学会関西・北陸地域部会第14回研究会(2023年2月開催)においても「沖縄県宮古島市におけるツーリズムジェントリフィケーション」のタイトルで発表を行った。また、2020年~2022年度に実施した研究内容をまとめて、経済地理学会関西支部12月例会(2022年12月開催)において、「観光需要による商業施設の変容と地域への影響-ツーリズムジェントリフィケーション-」のタイトルで発表を行った。 香川県高松市仏生山町の研究に関しては、日本地理学会春季大会(2023年3月開催)において「「まちやど」による地域の持続可能性について-香川県仏生山温泉を事例として-」のタイトルで発表した。また、北陸地域政策研究フォーラム(2023年2月)において、「インバウンド施策と持続可能な観光について 」のタイトルで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
ツーリズムジェントリフィケーションの宮古島市の研究は、査読論文にまとめ投稿を行うために、追加の調査を実施する。高松市仏生山町の研究に関しては、アルベルゴ・ディフーゾとまちやどの観点で査読論文にまとめ投稿する。2023年度の研究としては、北谷とアムステルダム市への調査に向けて先行研究の確認を行い、秋以降に現地調査を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度はアムステルダム市での調査を予定していたが、COVID‐19により2023年度に変更したため。
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Research Products
(9 results)