2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13283
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 宏至 山口大学, 人文学部, 准教授 (40781315)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 現代中国 / 宗族 / サイバー空間 / コロナ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に引き続き、本研究課題に関しては、新型コロナウイルスの影響もあり、現地調査を実施することができず、オンラインにて調査を続けることとなった。その中で、オンライン上の研究会にて本研究課題に関する研究発表を行う他、現地学術機関に所属する研究者と交流することで、現地調査を行えない部分を補った。 具体的には、北海道大学大学院 メディア・コミュニケーション研究院が主催する「危機のメディア研究」という研究会に5回出席し発表者やコメンテータを務め、研究領域と研究課題に関する交流を深めた。また現地(中国)の学術機関の研究者と交流することで研究課題に関する情報交換を行った。具体的には口語でのやり取りが多い少数民族地域が多い貴州省の学術機関に所属する研究者と、漢族が圧倒的多数を占める山東省の学術機関に所属する研究者である。これらの学術機関に所属する研究者と研究課題に関する交流を続ける中で、コロナ禍で現地調査が行えない部分を補完することを目指している。 これとは別に、引き続き現地社会ともオンライン上での交流を続けている。まだ現在は現地の情報を整理している段階に過ぎないが、オンライン上での親族のやり取りの中で、女性の発言の傾向、冠婚葬祭の案内とその反応、現地語が使われる場面と標準語が、口語で使われる場面とテクストで使われる場面、コロナ禍における人々の反応や対応などを分析している。これらの情報を国内外の研究者と交流し精査し、次年度以降の現地調査、本格的な実地調査にいかしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
正直なところ、研究の進捗状況は「遅れている」と言わざるを得ない。昨年は「やや遅れている」という評価であったが、この2年間コロナの影響で現地調査を実地で行うことができなかった。もちろん、本研究課題はオンライン上での人々の活動に焦点を当てるわけだが、それを文化人類学的に行う場合は、現地社会における文脈を共有しなければならない。それがコロナの影響で行えないということは、本研究課題を遂行する上で非常に大きな問題となっている。 本研究課題で調査地としている場所は、中国とガーナであるが、両者ともにオンラインでは連絡を取り続けている。ただそこで行われるやり取りは、必要なデータの一部でしかない。2022年度は中国とガーナの渡航が可能になることを願っている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響で、当初予定していた研究計画を変更せざるを得ない状況に直面している。本来であれば中国やガーナに赴いて調査を行う予定であったが、それが難しい状況が続いているため、現在、現地社会(中国)の学術機関に所属している研究者と連絡をとり、本研究課題の意義を共有してもらい、調査の協力を依頼している。 そのため本研究課題は本来の趣旨から少しずれる可能性もあるが、他の研究者と協力するという意味で、個別具体的な事例研究だけではなく、より汎用性の高い同時代的研究という意義を有す可能性もある。そうした意味においては、2021年度に行った活動は、課題の可能性を広げるという意味でポジティブに評価してもよいかもしれない。今後は、現地社会を引き続き調査するとともに、現地学術機関との連携も併せて行っていく。
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Causes of Carryover |
2021年度は研究計画において当初予定していた中国国内での調査が不可能であった。例え渡航したとしてもコロナ隔離期間をホテルで滞在するなどの対応しかできなかったので、研究を遂行することが出来ないと判断した。また同様にアフリカ・ガーナへの渡航も適切な時期ではないと判断した。そのため、旅費および旅費に伴う物品経費(現地社会で使用するVPNなど)の執行を行うことが出来なかった。 2022年度は引き続き中国社会では(2022年5月)現在、調査が難しい状況は続くが、ガーナにおいては調査が行えそうな可能性が高く、それを実行するべく予算を使用していく。
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