• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of the Expression Mechanism of Dignity through the Recovery Process of the Great East Japan Earthquake

Research Project

Project/Area Number 20K13286
Research InstitutionReitaku University

Principal Investigator

内尾 太一  麗澤大学, 国際学部, 准教授 (30759569)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords震災復興 / 養殖漁業 / 水産エコラベル / 持続可能性 / 尊厳 / マルチスピーシーズ
Outline of Annual Research Achievements

コロナの状況が落ち着いてきた2022年の春から秋にかけて、本申請課題の調査地である宮城県南三陸町においてフィールド調査を実施した。その目的は、震災復興の11年目の現在に焦点を当て、人々と自然の関係のあり方から、今日の被災地の地域生活の重要な要素の実態を掴むことであった。そのために、養殖漁業の復興に焦点をあてた。震災前は、誰よりも早く海に出て誰よりも多く獲ること、が是とされてきたが、今日では非競争的で環境保全的な養殖漁業が実践されている。さらに、南三陸町の戸倉地区の牡蠣は、ASC認証というグローバルに通用した水産エコラベル認証を取得した。こうした転換がなぜ起こったのかを、地域社会や文化の深層から解明すべく、調査では関係者11名に聞き取りを行った。その結果、今日の南三陸町の養殖漁業は、持続可能な形で行われてはいるものの、伝統的な価値観が、ASC認証が定めるようなグローバルスタンダードに入れ替わったわけではないことがわかった。代わりに報告者が掴んだのは、より良い生業のあり方を追求する人々の姿であり、地球の持続可能性を、地域の漁業の次世代への継承可能性と、現在のライフスタイルの継続性のレベルで調整し続ける地域文化の動態であった。その成果は以下の論集で2023年3月に出版されている。
「持続可能な養殖漁業の継続要因に関する人類学的探求 一宮城県南三陸町におけるカキ養殖のASC認証取得を事例に一」『環太平洋文明研究 7号』
また、南三陸町ではASC認証と同様に町の林業が「森のエコラベル」と呼ばれるFSC認証も取得している。そのことを、以下の地理教育向けの書籍において分担執筆で紹介した。こちらも2023年3月に出版されている。
「58. 災害と復興 東日本大震災後の彼災地の人びとはどのように暮らしてきたのだろうか」『フィールドから地球を学ぶ 地理授業のための60のエピソード』

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

これまで、被災者の尊厳の発現メカニズムの解明を目的に研究を続けてきたが、本年の成果でそのアプローチを明確にすることができた。それは自然災害によって暮らしを失った人が、また自然との関係を取り戻していく過程をフィールドワークすることだと言える。しかし、上にも記した通り、その成果の刊行が、コロナ禍1、2年目におけるフィールドワークの自粛により、2022年度末までずれ込んでいる。報告者は、漁業だけでなく林業にも注目したいと考えており、最終的な理論構築はそれらの事例を踏まえて行うことを理想としている。そのため(3)やや遅れている、という判断を下した。なお、既に期間延長の申請を行なっている。

Strategy for Future Research Activity

23年度は、南三陸町の林業とFSC認証に注目をしていきたい。既に、調査のための林業者との関係構築は進められており、22年度と同様に関係者への聞き取りを進めていく。
そして、同じ町内でASC認証とFSC認証の事例研究がそろった上で、これら二つの認証に共通するSの頭文字をとったStewardship(土地や自然を適切に管理するための考え方、その環境で生きる人間の尊厳との関係も想定できる)に関してより深い考察を進めていく。

Causes of Carryover

研究期間1、2年目のコロナ禍により予算執行計画が変更を余儀なくされたことが主な原因だと考えている。続く3年目(今年度)も、一定の成果を挙げることができたが、計画していた国際学会での発表は叶わなかった。
残額から900,000円を繰越し、延長した4年目(最終年度)にあてる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 持続可能な養殖漁業の継続要因に関する人類学的探求 一宮城県南三町におけるカキ養殖のASC認証取得を事例に一2023

    • Author(s)
      内尾太一
    • Journal Title

      環太平洋文明研究

      Volume: 7 Pages: 1-19

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi